2015 Fiscal Year Research-status Report
ゲノム編集技術を用いた歯根及び頭蓋の疾患モデルの作成と解析
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15K20373
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
吉本 由紀 広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 特任助教 (40735304)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | iPS / ScxGFP / Msx2 / TALEN |
Outline of Annual Research Achievements |
Scleraxis(Scx)は、歯周靭帯、縫合部、顎関節、腱・靭帯において特異的に発現するbasic helix-loop-helix型の転写因子である。Scxの発現領域において特異的にGFPを発現するScxGFPマウスの胎児由来線維芽細胞(MEF)を分離した。初期化に必要な因子(Oct3/4、Sox2、Klf4、L-Myc)を組み込んだ、エピソーマルベクターとセンダイウイルスベクターの両方を用いてリプログラミングの条件を検討した。センダイウイルスベクターを用いた方法では、ウイルス液の濃度を100万のMEFに対してMOIが2.5~5となるように感染させると、27クローンのiPS細胞を得ることができた。3ラインのiPS細胞株を継代・拡張し未分化性の保持と、センダイウイルスの残留を調べた。これらのiPS細胞株は、マウスES細胞と同様ナイーブ型のコロニーを形成し、増殖性も良好であった。ALP染色及び、マウスES細胞が発現するマーカー分子であるSEAA-1、Oct4、Nanog、Sox2の抗体を用いた免疫染色に対しても全て陽性を示し、これらのiPS細胞株が未分化性を保持していることが確認された。また、センダイウイルスに対する抗体を用いた免疫染色を行うと、3ラインが全て陽性となり、現在、ウイルスを脱落させるために継代を行っている。 Msx1, 2は、ホメオドメインをもつMsxファミリーに属する転写因子である。いずれも、変異マウスにおいて、頭頸部の形成異常が生じることが報告されている。様々な変異の中から、特に、Scxが発現する歯根周囲の低形成を引き起こす、Msx2の欠失変異に着目し、TALENを用いたゲノム編集技術を用いて、Msx2の欠失マウスを作成した。現在5系統のMsx2欠失変異を持つ系統が得られており、戻し交配を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の目標であるScxGFPマウス由来のiPS細胞の樹立と、歯根形成に異常を示す疾患モデルマウスの作成が達成され、研究課題の中から、特に有意義な課題に標準を絞り、予定がほぼ達成できていると考えられるため。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に、樹立したiPS細胞株を用いて、腱・靭帯細胞への分化を誘導する条件の探索を行う。また、Msx2欠失マウスの解析を行うことで、歯根形成に関与する分子メカニズムの解明を行う。
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Causes of Carryover |
iPS細胞株の樹立と、疾患モデルマウスの作成が達成され、実験計画が滞りなく進み、度重なるマウス作成やiPS樹立にかかる費用が抑えられたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後は、iPS細胞からの分化誘導系の探索と、疾患モデルマウスの解析が予定されており、次年度使用額として掲示された経費を、これらの解析に充てる計画である。
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