2015 Fiscal Year Research-status Report
舌癌細胞を標的とした新規の選択的細胞膜透過性ペプチドの開発
Project/Area Number |
15K20376
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
圓谷 智之 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30745279)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 細胞膜透過ペプチド / CPP / ドラッグデリバリーシステム / DDS / 舌癌 / ファージディスプレイ法 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞膜不透過性の分子を細胞内に導入する方法として、細胞透過性ペプチド(Cell Penetrate Peptide:CPP)の開発が進められている。CPPを任意のタンパクやペプチド等と結合させることにより、それら結合物質を容易に細胞内に導入することができる。近年では10個前後の塩基性アミノ酸(アルギニン、リジン)を基本としたペプチドが導入効率や副作用の面から研究の対象とされており、我々のグループではこれまでに9個のアルギニンより構成されるペプチド(9R-ペプチド)を用いて細胞内への導入が困難な巨大タンパクの細胞内導入に成功している。しかしながら9R-ペプチドはあらゆる細胞に極めて効率よく導入されるため、特定の病巣へのドラッグデリバリーには不向きであった。 また、頭頸部に発生する癌のうち、口腔領域に発生する癌は全体の約40%を占め、このうちの約60%が舌癌である。舌癌の治療には外科的切除が必須であるが、舌の切除後には発音や摂食、顔貌への変化を与える。そのため、不要な拡大切除や予防切除を避けるための正確な病巣範囲の特定法や新たな治療法の開発が切望されている。 本研究では、外科的切除範囲の縮小が望まれる舌癌に選択的透過性をもつペプチドを創出し、生体腫瘍イメージングおよびドラッグデリバリーによる制ガン医療技術の治療戦略を開発することを目的としている。 本年度は第一次スクリーニングとして、10^14種類のペプチドライブラリーをもとにした無細胞翻訳系で作成したmRNAディスプレイライブラリーを用いて、播種した舌癌細胞株にペプチドを添加しインキュベート、培養液をPBSで洗浄後、細胞を溶解し再び培養細胞に添加、と同工程を数回繰り返した後、PCRで増幅しシーケンスすることで細胞透過性ペプチドの候補を絞り込んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
スクリーニングの対象数を当初予定よりも大幅に増やしたため、ペプチドの第一次選定に時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
実験により得られた候補CPPにFITCを融合し、舌癌細胞株に添加する。FITC融合CPPの侵入効率を蛍光顕微鏡を用いて観察し、蛍光強度の定量により導入効率を解析する。また、本研究におけるCPPは舌癌への特異的侵入が要求されるため、コントロールとしてマウスのprimary culture より得られたMEF、Hippocampal neuron等の細胞でも同様の実験を行う。第2次スクリーニングにより候補CPPを3種以下まで絞り込む予定である。
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Causes of Carryover |
研究が当初予定よりも進まなかったため、研究にかかる費用の一部が使用されずにいる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当該年度中に予定されていた実験を速やかに遂行し、次年度以降の研究も当初の計画通り行っていく予定である。
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