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2015 Fiscal Year Research-status Report

オプトジェネティクス法を駆使した島皮質における除痛促進神経回路の解明

Research Project

Project/Area Number 15K20380
Research InstitutionNihon University

Principal Investigator

山本 清文  日本大学, 歯学部, 助教 (30609764)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2017-03-31
Keywords匂い / 痛み / 島皮質
Outline of Annual Research Achievements

Cre-loxpシステムにより,parvalbumin等の細胞種に特異的に発現するタンパクによって特定のニューロン種にChR2を発現させ,同遺伝子が発現するfast-spikingニューロンを光によって限定的に刺激し,痛みの下行性抑制系を増強させる計画である。
同時に,同ニューロンを興奮させる興奮性入力源の一つに「匂い」の情報処理を司る梨状皮質が考えられ,加えて同情報を脳内に伝える外側嗅索から直接同ニューロンに興奮性の情報伝達が成されると推定される。そこで,本研究では,後者の可能性の検証を行った。
島皮質を含む急性脳スライス標本を、Venus蛍光タンパクをVGATに遺伝子導入したラット、いわゆるVenusラットから作製し,島皮質内の無顆粒皮質第V層に存在するVenus陽性ならびに陰性ニューロンから記録した。脱分極性ならびに過分極性電流パルスによる発火特性・膜応答特性の違いからニューロンのタイプを同定し,記録したニューロンの形態を解剖学的な手法によって比較するためにビオシチンを添加した電極内液を用いた。共焦点レーザー顕微鏡ならびに蛍光顕微鏡にてVenus陽性ニューロンを確認したのちパッチ電極を装着し、fast-spikingニューロンを電気生理学的手法によって同定した。 第1層から第3層ならびに傍梨状皮層を含む領域 に60 um 間隔で,~6.0 mWのレーザー強度にて刺激し,560箇所にUVレーザーを照射し、レーザーによって惹起されるシナプス応答の有無からこれらニューロン集団に対する入力源の所在を明らかにした。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

無顆粒島皮質 (AI)に局在するfast-spikingニューロンに入力する興奮性の入力源は,第3層ならびに傍梨状皮層ならびに傍梨状皮に局在した。一方,同領域に存在する興奮性錐体ニューロンは傍梨状皮層ならびに傍梨状皮から興奮性入力を受けていないことが判明した。嗅球由来の感覚情報を伝導する外側嗅索に設置した電極による電気刺激により,AMPA受容体の選択的なアンタゴニストであるCNQXに感受性のある興奮性のシナプス伝達応答が認められたため,本ニューロンは外側嗅索から,直接あるいは間接的に興奮性入力を受けていることが電気生理学的に示された。
一方,Cre-loxpシステムを利用し,特定のニューロン種に遺伝子改変させ,光照射によって活性化させるChR2の発現実験は,主としてマウスで行われている。しかし,本実験で使用する「ラット」で認められた,匂いと痛みの情報処理を担う皮質間の連絡路がマウスに存在するか不明である。
そこで,刺激実験によってmono-もしくはpoly-の応答が含まれることから,嗅球にChR2を発現させ,本ニューロンの近位の線維を光照射により刺激し,外側嗅索から本ニューロンへ直接あるいは間接的に興奮性入力を受けていることを同定する計画である。

Strategy for Future Research Activity

計画立案時に,本ニューロンへの外側嗅索から直接投射は想定しておらず,また,外側嗅索由来の軸索は梨状皮質内に終止することが既に報告されており,したがって隣接した島皮質無顆粒皮質領域のニューロンを興奮させることはできない,あるいは興奮させることを可能としても,いくつものシナプスを介していることでシナプス伝達が減衰することにより,ごく僅かなシナプス伝達しか刺激によって得られないと想定されていた。しかし刺激によって誘発される応答は,嗅索の軸索終末が皮質fast-spikingニューロンに投射することを意味するmonosynapticな応答,いくつかのシナプスを介したpolysynapticな応答が同時に認められた。また無顆粒皮質に存在する興奮性ニューロンにはいずれの応答も認められなかった。
このため嗅索軸索の終末が限定的に本ニューロンに投射することによって,「痛みを感じやすくさせる」とされる無顆粒皮質の興奮性ニューロンの出力に強く抑制をかけ,痛みの感じ方を調節しうると推定される。そのため本計画は,「外側嗅索-無顆粒島皮質fast-spiking neuron」間の神経路の検討に重点をおく。

Causes of Carryover

予定していた北米神経科学会での発表を取りやめたため残金が生じた。

Expenditure Plan for Carryover Budget

新たに購入する解析用PCノ購入資金の一部として使用する。加えて,実験動物の購入費ならびにガラス器具,試薬,動物に薬物を微量注入するための専用注入針などの消耗品の購入費として使用する。また,北米神経科学会での発表を行うための旅費として使用する。

  • Research Products

    (2 results)

All 2016 Other

All Presentation (1 results) Remarks (1 results)

  • [Presentation] 無顆粒皮質GABA作動性fast-spikingニューロンにおける梨状皮質由来興奮性入力応答2016

    • Author(s)
      山本清文,越川憲明,小林真之
    • Organizer
      第89回日本薬理学会年会
    • Place of Presentation
      パシフィコ横浜会議センター (神奈川県横浜市)
    • Year and Date
      2016-03-09 – 2016-03-11
  • [Remarks] 日本大学歯学部薬理学講座

    • URL

      http://www2.dent.nihon-u.ac.jp/pharmacology/

URL: 

Published: 2017-01-06  

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