2015 Fiscal Year Research-status Report
超音波エラストグラフィによる頭頚部軟組織の硬さの定量化
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15K20391
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
佐藤 晶子 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (10431933)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | エラストグラフィ |
Outline of Annual Research Achievements |
頭頚部ではstrain法による超音波エラストグラフィが広く用いられているが、組織の硬さを弾性率として定量的に求めることはできない。あらかじめ弾性率の分かっているゲルパッドを参照体として用い、組織の弾性率を推定する方法が報告されているが、組織の深さや周囲組織の硬さによって求められる弾性率は変化する。本研究では、これらの因子が弾性率に及ぼす影響を検討し、より精度の高い弾性率の推定方法を確立することを目的としている。 弾性率を推定する方法を確立するために、あらかじめ弾性率の分かっているゲルパッドを参照体として用い、ファントムを対象として超音波エラストグラフィを行い、ゲルパッドおよびファントムの歪みを測定し、これらのデータをもとに、歪みから弾性率を計算するための方程式を求める計画である。 平成27年度は、ゲルパッドの歪み特性を評価し、参照体として用いるのに適したゲルパッドの硬さを決定するために、ゲルパッドの歪みの測定と解析を行った。 ゲルパッドには7kPaおよび40kPaの硬さのものを用意した。弾性率の異なる球形の素材を内包したファントムを対象として、超音波エラストグラフィを行い、ゲルパッドおよびファントムの歪みを測定した。7kPaのゲルパッドでは、測定値に大きなばらつきがみられた。さらに非常に軟らかいため、圧迫によって変形したり、破損したりしやすいため、実際の利用には適していないと考えられた。参照体としては、40kPaのゲルパッドを用いることとした。しかし、軟らかい対象物を測定しようとすると、嚢胞などの非常に軟らかい対象物においてみられる画像が形成され、歪みを正確に測定できなかった。また、ゲルパッドにより多重反射が原因と考えられるアーチファクトが発生することも確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
産前産後休暇および育児休業の取得のため、平成27年12月から平成28年3月まで研究を行うことができなかったため、遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、40kPaのゲルパッドを参照体として用い、ファントムを対象として超音波エラストグラフィを行い、ゲルパッドおよびファントムの歪みを測定し、これらのデータをもとに、歪みから弾性率を計算するための方程式を求める計画である。ファントムには、均一な素材からなるものと、弾性率および深さの異なる球形の素材を内包したものを用いる。均一な素材からなるファントムを用いて、歪みと弾性率の非線形関係および深さと歪みの関係について検討する。また、弾性率および深さの異なる球形の素材を内包したファントムを用いて、深さと歪みの関係および周囲組織と歪みの関係について検討する。 これまでの研究では、軟らかい対象物において歪みを正確に測定できないこと、また、ゲルパッドによりアーチファクトが発生することといった課題が明らかとなった。今後の研究ではこれらの問題についても、あわせて検討し、解決策を探る方針である。
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Causes of Carryover |
産前産後休暇および育児休業の取得に伴い、研究を一時中断したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
中断した研究を再開するため、交付申請書に記載した当初の計画通りに使用する。
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