2015 Fiscal Year Research-status Report
ヒト歯髄細胞におけるベルベリンを用いた新規硬組織再生法の開発研究
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15K20395
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
須藤 瑞樹 東北大学, 大学病院, 医員 (40708046)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 歯周組織再生 / ヒト歯髄細胞 / ヒト歯根膜細胞 / ベルベリン |
Outline of Annual Research Achievements |
ベルベリンはイソキノリンアルカロイドの一種で骨芽細細胞へ刺激すると骨分化マーカーの発現を促進することが報告されている。しかし、ベルベリンによるヒト歯髄細胞への効果は知られていない。ヒト歯髄細胞は骨芽細胞を類似の表現型を有していることからベルベリン刺激による硬組織再生が期待できると考えられる。本研究はベルベリンによる歯髄細胞の分化誘導のメカニズムを明らかにし、象牙質再生療法を展開するための基盤を構築することを目標とする。今年度は骨芽細胞をベルベリンで刺激すると石灰化を促進するという結果をうけ、まずはベルベリンによる細胞毒性の実験を行った結果、ベルベリン存在下で有意な細胞数の増加がみられた。また、ヒト歯根膜細胞においても同様な実験を行った結果、有意に細胞数の増殖がみられ、これはヒト歯髄細胞の増殖よりもより顕著であった。これにより今年度はより顕著な反応を示したヒト歯根膜細胞(hPDL)に重点をおき研究を進めた。細胞周期をさらに回転させて細胞分裂を増加させるcyclin D1の遺伝子発現を定量性リアルタイムPCRにて解析を行ったところ発現量は有意に増加した。またベルベリン刺激によるヒト歯根膜細胞の増殖へのMAPキナーゼの関与について検討した結果、ERK1/2阻害剤、p38阻害剤にてヒト歯根膜細胞を前処理した後ベルベリン存在下にて培養し、細胞数の計測を行った結果、どちらの阻害剤においてもベルベリンによる細胞増殖の促進は抑制されなかった。このことよりベルベリンはMAPキナーゼ非依存的にヒト歯根膜細胞の増殖を促進することが示唆された。 次年度はこれらの知見をもとにヒト歯根膜細胞にてベルベリンによる硬組織形成能やシグナル伝達経路を確立し、それを基盤にヒト歯髄細胞へと解析を継続していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の研究計画であるベルベリン刺激による硬組織再生誘導能の検討に関してヒト歯髄細胞とヒト歯根膜細胞を用いて検討を行った。その結果ヒト歯根膜細胞はヒト歯髄細胞と比較してより顕著な反応を示した。そこでまずヒト歯根膜細胞にて上記の解析を行い、ヒト歯根膜細胞の増殖を促進し、MAPキナーゼ非依存的であることが示唆された。 その解析をもとにヒト歯根膜細胞にて基盤を構築しヒト歯髄細胞へ解析を進めることにより次年度以降の継続課題とすることができる。従って、以上の結果から一部内容を変更したが現在までの研究の達成度は概ね順調と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の研究成果、すなわちベルベリン刺激によるヒト歯根膜細胞の硬組織再生誘導に対して、その分子メカニズムを明らかにし、ヒト歯髄細胞と比較しながら解析を進めていくことが今後の研究の目標となる。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度請求額とあわせ、平成28年度の研究遂行に使用する予定である。
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