2016 Fiscal Year Research-status Report
LAIのキャビテーション作用機序の解明と新規LAIチップの臨床応用の確立
Project/Area Number |
15K20398
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
佐竹 和久 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 医員 (90707259)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | Er:YAGレーザー / 半導体レーザー / キャビテーション / 根管洗浄 / 根管側枝 / 蒸気泡 / 高速度カメラ / 圧力測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、歯内療法における新たな根管洗浄法として考案された、レーザー照射装置を応用したLAI(Laser-Activated Irrigation)のキャビテーション作用機序を解明し、新規LAIチップの臨床応用を確立することである。 平成28年度の研究実績は以下の通りである。 LAIで生じる根管内での蒸気泡の数およびその速度がレーザーの照射用チップの形態が及ぼす影響を解析した。根管長20 mm、40号0.06テーパーに調整したプラスチックピペットチップを模擬根管とし、蒸留水を満たした状態でEr:YAGレーザー装置(Erwin AdvErL、 モリタ製作所)および付属チップを使用し、チップ先端を根管模型底部から15 mmの位置に固定して以下の条件でレーザー照射した。R200Tチップ(円錐状、φ200 μm)、 R600T(円錐状、φ600 μm)、 C600F(平坦、φ600 μm)を用いて、70 mJ、25ppsの条件で作用させた。各群7回ずつ計測し、模擬根管内の蒸気泡の発生挙動をハイスピードカメラ(VW-9000、 キーエンス)で照射から100μsec、 500μsec、1000μsec時点での蒸気泡の数、面積、速度を解析した。測定した時間(100-1000μsec)での蒸気泡の数および速度に関してチップ間に有意差を認めなかった。また、C600FチップではR200TおよびR600Tチップよりも有意に面積の小さな蒸気泡を生じていた。これらの成果の一部を第38回日本歯内療法学会にて発表する予定である。 Er:YAGレーザーを使用したLAIにおいて、蒸気泡の形状はレーザーチップ形態により異なっていた。しかしながら、蒸気泡の発生の数や大きさ、速度による清掃効果の影響等についてはさらに検討する必要がある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに我々は、概ね当初の予定通り、1.根尖孔外の圧力の測定、2.高速水流の流量分布の解明、3.根管側枝における洗浄効果の測定、4.チップ形態とレーザー照射条件による根尖孔外の圧力および蒸気泡の挙動への影響の測定について国内外の学会での発表と論文投稿を行った。本研究における基礎的な結果により、臨床応用にあたって従来の治療法と比較して、良好で安全な結果を得られる可能性を有すると考えられる。これまでに海外の学会において情報収集を行ったが、我々の予想よりもこのテーマについての研究の進行が早く、現在臨床での応用を検証しているということが判明している。このLAIを用いた根管洗浄に関し世界中が関心を抱き研究を進めており、この手法が将来的に極めて効果的な根管治療に寄与するものと確信に至っている。以上より、本研究は当初の予定通りおおむね順調に進行していると言えるが、海外の研究機関の動向を注視すべきであると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在新しいチップの開発を考案するため、既存の種々のチップを使用した際の蒸散挙動についてハイスピードカメラを用いた検証を行っている。新たに開発したチップを用いて、これまでに行った検証方法での比較検討を行い、安全性および有効性を確立していく。
|
Causes of Carryover |
当初のLAIのキャビテーションの蒸散機構についてこれまで多くの発表を国内外の学会発表および海外論文投稿を通して行ってきたが、新しいチップの開発に時間がかかっているため延長した。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在種々のチップを使用した際の蒸散挙動についてハイスピードを用いて様々な角度から検討しているところであり、発表を予定している。主に新規チップの開発にかかる諸経費に宛てる予定である。
|