2017 Fiscal Year Annual Research Report
The study of the hypoxia culture using human induced pluripotent stem cells
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15K20407
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
杉本 浩司 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (40646113)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 低酸素培養 / HIF / STAT3 / ヒトiPS細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
以前の研究で、マウスiPS細胞を低酸素環境下で培養すると20%O2下で培養した場合よりも未分化状態を維持していることを報告した。さらにマウスiPS細胞の未分化状態の維持にはHIF-2αが関与していることも示唆された。我々はマウスiPS細胞と同様にヒトiPS細胞においても低酸素培養が未分化状態を維持できる可能性を考えた。本研究では低酸素培養がヒトiPS細胞に与える影響および、Stat3を介したHIFの活性化とstemness維持における働きについて検討を加えた。 今回の研究では、ヒトiPS細胞は低酸素環境ではコロニー形成が促進され、未分化マーカーの発現も増加していた。さらに、HIF-2αを抑制したところ、コロニーは形成するもののコロニー内の細胞密度が疎なものが多く見られ、未分化マーカーの発現量は有意に減少した。HIF-1α抑制時にはヒトiPS細胞のコロニー形成を認め、未分化維持には大きな影響を与えていなかった。また、HIF-3αはその働きについてはいまだ未解明な部分も多いが、今回の研究ではmRNAレベルではヒトiPS細胞の未分化維持に関与している可能性が示唆された。 また、ヒトiPS細胞の多能性の制御とStat3の関係性について検討したところ、低酸素環境下でStat3を阻害することで、HIF-2αの発現が抑制され、未分化マーカーの発現が減少した。このことから、ヒトiPS細胞は低酸素環境下ではJAK/Stat3経路を介して、HIF-2αの発現を促進し、未分化状態を維持しているのではないかと推察される。 結論として、低酸素環境下ではマウスiPS細胞と同様にヒトiPS細胞は通常酸素濃度よりも未分化状態を維持し、コロニー形成を促進していた。さらに、低酸素環境下においてStat3によりHIF-2αの発現が活性化され、ヒトiPS細胞の未分化維持に関与していることが強く示唆された。
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Research Products
(1 results)