2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K20416
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小峯 千明 日本大学, 松戸歯学部, 助教 (60708577)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 抗菌的光線力学療法 / 一重項酸素 / 殺菌メカニズム |
Outline of Annual Research Achievements |
現在,光線力学療法を応用し殺菌を行う, anti-microbial Photodynamic therapy(a-PDT)に着目し,臨床応用を目指し研究を行っている。特に難治性根尖性歯周炎の関連菌といわれているEnterococcus faecalis(E.faecalis)およびCandida albicans(C.albicans)に焦点を当て、殺菌原理である一重項酸素との関係性を研究している。 今年度はC.albicansに対して一重項酸素を発生させ, C.albicans殺菌率と一重項酸素発生量の相関関係を明らかにした。また一重項酸素を濃度依存的にE.faecalisおよびC.albicansに曝露し,その後の菌体表面の形態学的観察をSEMにて行った。結果、一重項酸素発生量依存的に菌体表面に凹凸を数多く認めるようになり、殺菌率に比例して、菌体が断片的に散在していく様子が観察された。今後は形態学的観察をTEMで行い,詳細を確認していく予定である。 また,宿主に対する影響については,臨床応用に向けて最重要である。一重項酸素が及ぼすヒト歯根膜培養細胞における細胞毒性を検討している。すなわち,ヒト歯根膜培養細胞に対して,メチレンブルーから発生した一重項酸素を作用させ, PBSにて洗浄後, 37℃でインキュベートし, 0,6,12および24時間後の細胞毒性試験を行った。インキュベートした時間依存的に細胞生存率が低下した。しかしながら,現在までのデータのみではメチレンブルーから発生した一重項酸素が細胞毒性を有したのか,PBSで洗浄をしてもメチレンブルーが細胞に染色してしまっているため,その影響が生じてしまっているのか再検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一重項酸素による細菌細胞膜の脂質過酸化反応を検討するため電子スピン共鳴装置(ESR)を使用する予定であったが,ESR装置の不具合によるメインテナンス、微調整、システムの更新などで使用不可能な時期があった。 また,一重項酸素が及ぼすヒト歯根膜培養細胞における影響についても実験条件等の見直しがあったことが考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
ESR装置は現在復旧しているので計画が前後したが、優先的にESR装置から得られる活性酸素腫(脂質ラジカル等)のデータを優先的に収集する。 一重項酸素はメチレンブルーを光増感剤として発生させているが、メチレンブルーをin vitro下で細胞に作用させた場合,dishから細胞がはがれやすくなってしまう点などが課題であるので,別な系から一重項酸素を発生させ,研究を進めることも考えている。
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Causes of Carryover |
活性酸素種測定試薬の購入を控えたことが理由として挙げられる。また,国際学会(IADR)トルコを予定していたが,国際情勢が不安定であったため控えたことが理由として挙げられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
活性酸素種測定試薬の購入,国際学会(IADR)韓国の参加および論文投稿費等に予算を充てる予定である。
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