2016 Fiscal Year Annual Research Report
Development of safe nursing care foods by evaluating processing dynamics
Project/Area Number |
15K20436
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
藤原 茂弘 新潟大学, 医歯学系, 助教 (70711034)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 摂食・嚥下リハビリテーション / 歯学 / 医療・福祉 / 解析・評価 / 食品工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,高齢嚥下障害患者の急速な増加に伴い,介護食への関心も高まりつつあり,さまざまな食品基材や加工法が導入され,現在も市場は拡大している.しかし,その物性に関する基準は機器測定や官能評価によるものであり,実際の咀嚼嚥下機能を十分に考慮しているとは言えない.申請者らは,口腔内での物性の評価として,食塊の形成と送り込みに重要な「舌圧」に着目し,これまで食品化学の専門家とともに,口腔内と機器測定との違いについて報告してきた.本研究の目的は,介護食の基材であるゲル(ゼリー状食品)の物性を舌圧で評価することで,食品物性と咀嚼嚥下動態の関係を明らかにすることである. 本年度は昨年度に計測を行った破断荷重・破断歪の異なる9種類のゼリーを舌で押しつぶして嚥下した際の舌圧発現様相のデータの分析を主に行った.また,昨年度に行っていたゼリーの押しつぶしやすさなどの主観的評価法であるVASの再計測を行い,舌圧発現様相の結果とふまえ,食品物性が舌で押しつぶして摂取する際の舌圧発現様相への影響,また舌圧発現様相と主観的評価との関連について検討した. 結果として,ゼリーの押しつぶす過程において初期では破断荷重が大きいほど硬口蓋の正中部において舌圧は強くなり,中期においては硬口蓋の正中部から後方にかけて舌圧 は強くなる傾向を示したが,ゼリー押しつぶしの後期,嚥下時においてはテクスチャーによる変化はみられなかった.また,主観的評価の結果から「つぶしにくい」と感じる場合押しつぶし時の舌圧は高くなるなど舌圧発現様相と主観的評価との関連付ける傾向がみられた.これらの成果は日本補綴歯科学会第125回学術大会にて口頭発表を行った. 本研究より得られた結果は,要介護者用食品製作の基準に,新たに生体計測という評価軸を加える可能性を示唆するものであり,今後の安全な食品製作の一助となるものと考えられる.
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