2015 Fiscal Year Research-status Report
口腔乾燥症の確定診断に極めて有効な唾液マーカーの新開発
Project/Area Number |
15K20456
|
Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
水橋 史 (高橋史) 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 准教授 (60386266)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 唾液 / RNA抽出 / Ca 拮抗薬 / タンパク濃度 / 二次元電気泳動 / 銀染色 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、「研究の目的」に掲げたCa 拮抗薬服用者の口腔乾燥症を確実に診断するためのマーカーの新開発に向けて、「研究実施計画」にあるように、対象者の依頼と対象者データの作成、唾液の採取、唾液RNA抽出を行った。対象者の抽出にあたっては、Ca 拮抗薬のみ服用している患者数が少ないため、研究計画で「研究が計画どおりに進まない時の対応」で記載したようにCa 拮抗薬あるいは他の降圧剤の他に、口渇を生じない薬を服用している患者も対象者に含めて唾液(安静時唾液)の採取を行った。 当初の計画では、唾液RNA抽出後にcDNAマイクロアレイ解析に入る予定であったが、「研究実施計画」には挙げていなかったのだが、マイクロアレイ解析を行う前に、唾液のタンパク定量を行いタンパク濃度を調べ、二次元電気泳動を行ったのち、銀染色を行った。二次元電気泳動の目的は、Ca 拮抗薬服用の口腔乾燥症患者とコントロール(内服薬のない健常高齢者)のタンパク質の出現の違いを確認することである。二次元電気泳動によるタンパク質出現状態の確認は、Ca 拮抗薬服用による口腔乾燥症患者のマーカーの発見に向けて、重要な分析であるため、平成27年度の研究では、マイクロアレイ解析に先立って二次元電気泳動によるタンパク質出現状態の確認を行った。タンパク定量、二次元電気泳動、銀染色は、生化学講座および先端研究施設現有の装置および器材、試薬を使用して行ったため、平成27年度の経費は使用しなかった。平成27年度に見積もっていたcDNAマイクロアレイ解析に必要な経費は、平成28年度に行う解析の際に使用する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度の「研究実施計画」は、対象者の依頼と対象者データの作成、唾液の採取、唾液RNA抽出、cDNAマイクロアレイ解析を行い、解析結果から標的RNAとタンパク質の決定を行う予定であったが、当初の計画になかった二次元電気泳動によるタンパク質出現状態の確認を先に行ったため、研究の進捗が少し遅れている。二次元電気泳動によるタンパク質出現状態の確認は、Ca 拮抗薬服用による口腔乾燥症患者のマーカーの発見に向けて、重要な分析であるため、cDNAマイクロアレイ解析を行う前に行う必要があった。 また、対象者の抽出にあたっては、研究開始当初はCa 拮抗薬のみ服用している患者だけを抽出していたが、患者数が少なかったため、途中からCa 拮抗薬のみ服用している患者に加え、Ca 拮抗薬の他に、口渇を生じない薬を服用している患者も対象者に含めて唾液の採取を行っていったため、唾液の採取に期間を要してしまい、研究の進捗が少し遅れた。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、二次元電気泳動と銀染色で調べたCa 拮抗薬服用の口腔乾燥症患者とコントロール(内服薬のない健常高齢者)のタンパク質の出現の違いを整理し、その後、Ca 拮抗薬服用の口腔乾燥症患者、他の降圧剤服用の口腔乾燥症患者、およびコントロール(内服薬のない健常高齢者)各6検体を選んで、cDNAマイクロアレイ解析を委託する予定である。解析結果が来た後は、マイクロアレイデータを先端研究施設現有のGene Springを用いて遺伝子発現解析を行う。各群についてプロファイリングすると同時に、発現差のある遺伝子を抽出し、GO 解析を行い、Ca 拮抗薬服用者に特徴的なRNA を標的として決定する。ここまでの結果をまとめて、論文の作成を行う。 その後、Ca 拮抗薬服用者の標的遺伝子について、RT-PCR とリアルタイムPCR を行い、保管しておいたRNA 試料(各群20 検体)を解析する。さらに、標的遺伝子にコードされるタンパク質の抗体を購入あるいは作成(委託)して、保管しておいた唾液を被験体としてWestern blotting によりタンパク質の検出を行う。 平成28年度の研究実施計画の最後にあるmicroRNA のマイクロアレイ解析については、RT-PCR、リアルタイムPCR 、Western blottingの後に行う計画であったが、RT-PCR、リアルタイムPCR 、そして標的遺伝子にコードされるタンパク質の抗体の購入あるいは作成(委託)が必要なWestern blottingを実施するには時間を要すると思われるため、これらを遂行すると同時期に microRNA のマイクロアレイ解析も行いたいと考えている。
|
Causes of Carryover |
当初の計画では、平成27年度にcDNAマイクロアレイ解析を行う予定であったが、「研究実施計画」には挙げていなかったのだが、マイクロアレイ解析を行う前に、唾液のタンパク定量を行いタンパク濃度を調べ、二次元電気泳動を行ったのち、銀染色を行った。タンパク定量、二次元電気泳動、銀染色は、生化学講座および先端研究施設現有の装置および器材、試薬を使用して行ったため、平成27年度の経費は使用しなかった。また、唾液採取器具一式やRNA 関係器材一式は、生化学講座現有のものを使用したため、平成27年度の経費は使用しなかった。 平成27年度の経費の大部分はcDNAマイクロアレイ解析に必要な経費であったため、次年度使用額が多くなった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は、Ca 拮抗薬服用の口腔乾燥症患者、他の降圧剤服用の口腔乾燥症患者、およびコントロール(内服薬のない健常高齢者)各6検体を選んで、cDNAマイクロアレイ解析を委託する予定であり、ここに多くの経費を使用する。解析結果が出た後は、マイクロアレイデータを先端研究施設現有のGene Springを用いて遺伝子発現解析を行い、Ca 拮抗薬服用者の標的遺伝子について、RT-PCR とリアルタイムPCR を行う。この際に、PCR 関係器材一式、RT-PCR 関係試薬一式の購入が必要になる。さらに、標的遺伝子にコードされるタンパク質の抗体を購入あるいは作成(委託)して、Western blotting によりタンパク質の検出を行うので、抗体の購入あるいは作成に経費が必要になる。 平成28年度は、microRNA のマイクロアレイ解析も行うが、解析に多くの経費を使用する。
|