2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K20463
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
藤井 孝政 大阪歯科大学, 歯学部, 助教 (20411431)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 低温大気圧プラズマ処理 / 汚染金属被着面 / 接着性レジンセメント / 表面処理方法 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯冠補綴装置の内面適合試験には,シリコーン適合試験材が有用と言われており,臨床において多用されている.しかしながら,検査後の被着体表面にはシリコーンオイルが残存してしまう.残存したシリコーンオイルによって,接着性レジンセメントの重合が阻害され,接着強さを低下させると報告されている.残存シリコーンオイルの除去方法として,アルミナサンドブラスト処理が有効とされている.アルミナサンドブラスト処理は,物理的な力で汚染物質の除去を行うため,歯冠補綴装置の辺縁部に変形を生じさせると報告されている.変形により,歯冠補綴装置の適合状態が悪くなり,2次齲蝕,セメントの溶出といったリスクの増大が懸念される. 近年,低温大気圧プラズマ処理が,表面処理分野において世界中で関心を高めている.低温大気圧プラズマの特徴として,電子レベルでの汚染物質の分解・除去,表面エネルギーの活性等が挙げられる.工業界では,液晶ガラス基板への洗浄技術等で普及している.環境界においては,低温大気圧プラズマで発生する活性種の化学反応を利用して,排ガスを浄化する方法が実用化されている.医療分野では,プラズマを用いた治療方法が確立されている. しかしながら,歯科領域において,低温大気圧プラズマを応用した例は少なく,その効果は明らかとなっていない. そこで,本研究では,シリコーンオイルによる汚染金属被着面に対する低温大気圧プラズマ処理が,接着性レジンセメントの接着強さに与える影響について検討した. 結果,低温大気圧プラズマ処理は,汚染された金銀パラジウム合金に対する接着性レジンセメントの接着強さを向上させることが明らかとなり,低温大気圧プラズマ処理は,アルミナサンドブラスト処理と同等程度の接着強さを得ることができ,臨床においても応用が可能であることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初,27年度はステンレス鋼に対する低温大気圧プラズマ処理の影響を基礎的研究として行う予定であったが,当初の研究計画と変更があったため.
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Strategy for Future Research Activity |
28年度,抜去歯牙への低温大気圧プラズマ処理の影響を行う予定である.
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Causes of Carryover |
当初,ステンレス鋼を用いた実験を計画していたが,計画に少しの変更があり,物品費が当初の予定より少なくなったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
28年度は,抜去歯を用いた実験を計画しており,その実験の材料費として使用予定である.
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