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2015 Fiscal Year Research-status Report

臍帯由来間葉系幹細胞を用いた放射線性唾液腺機能障害の回復

Research Project

Project/Area Number 15K20471
Research InstitutionMatsumoto Dental University

Principal Investigator

井上 実  松本歯科大学, 歯学部, 助教 (90599036)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2017-03-31
Keywords口腔乾燥症 / 唾液腺機能障害 / 放射線治療 / 放射線障害 / 臍帯由来間葉系幹細胞
Outline of Annual Research Achievements

本研究の最終的な目標は、幹細胞による萎縮唾液腺の新たな治療法の開発である。本研究の目的は、細胞移植による機能回復メカニズムの解明を行うとともに、さらに効果的、実用的な治療法開発へつなげるため、同種より採取可能なヒト臍帯由来間葉系幹細胞(Mesenchymal stem cells, MSC)を用いた萎縮唾液腺の機能回復の可能性について検討することである。始めに、唾液腺の in vitro 放射線障害モデルを用いた体性幹細胞による唾液腺細胞の機能回復 について検討を行った。単離した唾液腺細胞を浮遊培養し、さらに接着させて継続培養することで、上皮細胞は導管、および腺房へと分化する。また、この唾液腺上皮細胞の培養系に対して放射線照射を行うことで、唾液腺細胞の増殖能の抑制と機能低 下が見られる。この培養細胞と骨髄単核球分画(MNC)と共培養を行うことで、in vitro 放射線障害モデ ルにおいても、MSCによる唾液腺の機能回復が認められている。本年度は、ヒト臍帯由来MSCを用いて、同様の共培養が可能かどうかを検討した。ヒト臍帯由来MSCはDMSO中に凍結されており、解凍後直ちにPBSにて洗浄を行い、必要細胞数を同一培地にて懸濁後共培養に用いた。ヒト臍帯由来MSCは共培養下にて安定して増殖可能であった。そこで、同一の環境下におけるヒト臍帯由来MSCの特徴を理解するため、従来研究に用いてきた骨髄単核球細胞および骨髄由来間葉系幹細胞を用いて、ヒト臍帯由来MSCとの比較検討を行った。種差のため単純な比較は困難であるが、同一細胞数では、骨髄単核球および間葉系幹細胞と比較してAQP-5の遺伝子発現の高い発現が認められた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

ヒト臍帯由来MSCについて、in vitro唾液腺萎縮モデルによる共培養が可能であることを確認した。また、非培養の骨髄単核球細胞や骨髄由来間葉系幹細胞と比較することで、臍帯由来MSCは優れた唾液腺機能回復機能を持つ可能性が示唆された。in vitroモデルを用いた研究については、この唾液腺機能回復作用が細胞間の接触を伴わない条件で認められることが明らかとなっている。しかしながら、接触によってより大きな効果が現れるかどうかは明らかではない。接触する共培養では細胞が混在するため、細胞数や発現遺伝子の解析が困難となる。したがって、現在接触培養における影響を検出可能な実験系を開発中である。また、細胞の治療効果はin vivoにおける実験系でも確認する計画である。これまでにマウスを用いた放射線照射を行い、マウスの生存と唾液量の変化について検討を行い、条件の最適化を行っている。

Strategy for Future Research Activity

in vitro実験系においては、臍帯由来MSCによる腺房細胞の機能回復が確認されている。したがって、今後の重要な検討は、そのメカニズムを検討することである。細胞移植による機能回復のメカニズムについては、これまで神経細胞に対する影響などが検討されており、主として液性の因子である増殖因子やmicroRNAなどによる効果が示されている。その一方で、接触による影響については実験系の困難さから明らかになっていない。機能回復のメカニズムを解析するためには、接触による直接の作用についても明らかにする必要が有ると考え、現在その実験系確立を試みている。直接の影響が明らかになれば、液性因子の貢献度もより明瞭になることが期待される。その一方で液性の因子については、網羅的遺伝子解析が必要である。現在臍帯由来MSCの発現遺伝子について、解析の準備を行っている。今後発現遺伝子医に関する情報が得られ、さらに骨髄由来MSCとの差が明らかとなれば、細胞による機能回復のメカニズムがさらに解明されることが期待される。

Causes of Carryover

東京大学医科学研究所から松本歯科大学に異動があったため研究環境が変化し、対応しきれなかった。そのため予定していた研究費を使用することが出来ず、執行率が悪かった。

Expenditure Plan for Carryover Budget

今年度は研究補助員を導入し研究を遂行する。学会発表、論文作成を行う予定である。

  • Research Products

    (4 results)

All 2016 2015

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (2 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] Comparison of Manual and Automated Cultures of Bone Marrow Stromal Cells for Bone Tissue Engineering.2015

    • Author(s)
      3.Akiyama H, Kobayashi K, Ichimura M, Tone H, Nakatani M, Inoue M, Tojo A and Kagami A.
    • Journal Title

      J Bioeng Biosci

      Volume: 120 Pages: 570-576

    • DOI

      10.1016/j.jbiosc.2015.03.011

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] 「自己骨髄間質細胞を用いた歯槽骨再生臨床研究:長期経過に関する検討2016

    • Author(s)
      井上 実,  各務 秀明,田口 明,朝比奈 泉
    • Organizer
      第35回 日本口腔インプラント学会関東・甲信越支部学術大会
    • Place of Presentation
      京王プラザホテル(東京都新宿区西新宿2-2-1)
    • Year and Date
      2016-02-13 – 2016-02-14
  • [Presentation] 自己骨髄間質細胞を用いた歯槽骨再生臨床研究2015

    • Author(s)
      井上 実, 朝比奈 泉, 各務 秀明
    • Organizer
      第45回 日本口腔インプラント学会総会
    • Place of Presentation
      ホテルグランヴィア岡山(岡山市北区駅元町1番5)
    • Year and Date
      2015-09-21 – 2015-09-23
  • [Book] 歯科再生・修復医療と材料2015

    • Author(s)
      井上実,朝比奈泉,各務秀明
    • Total Pages
      P269(P10~P16)
    • Publisher
      シーエムシー出版,東京

URL: 

Published: 2017-01-06  

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