2016 Fiscal Year Research-status Report
歯髄幹細胞を用いた骨組織および神経組織再生治療法の開発
Project/Area Number |
15K20494
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
秦 正樹 愛知学院大学, 歯学部, 助教 (20632871)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 歯髄幹細胞 / 細胞移植 / 顎骨欠損 / 糖尿病性神経障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
組織再生治療はこれまでに臓器移植や人工物によって治療が行われてきた疾患や、現在の治療法では完治が難しい疾患に対する新しい治療法として注目されている。歯髄幹細胞は主に若年時に採取可能、凍結保存可能という点から有効なツールと考えられ、我々はこれまでに歯髄幹細胞の特異的な機能について解析を行ってきた。本研究では、臨床応用を目指して疾患モデル動物を作製し、細胞移植効果の評価を行う。平成28年度は前年度に単離培養、同定を行ったラットおよびヒト歯髄幹細胞を用いて、下記の成果を得た。 1.歯髄幹細胞を用いた骨組織再生研究 骨欠損に対する組織再生治療において、細胞を欠損部に定着させるために足場材料を用いる必要がある。ラット頭蓋骨両側に直径4.6mmの欠損を作製し、ラット歯髄幹細胞と β-TCP、HA、collagen の移植を行った。移植2週、4週、6週後に3DマイクロX線CTを用いて頭蓋骨欠損部を観察し、新生骨を確認した。また、歯髄幹細胞移植の前処置として、磁場刺激(0.4T、0.17Hz、6時間)を加え、細胞増殖活性を評価したところ、control群と比較し有意な増加を確認した。 2.歯髄幹細胞を用いた神経組織再生研究 糖尿病性神経障害に対する組織再生治療では、糖尿病発症モデルマウスにヒト歯髄幹細胞移植を行い、移植4週、16週後において感覚閾値、坐骨神経伝導速度、坐骨神経内血流量の改善が確認された。また組織学的評価では、移植した細胞が骨分化、脂肪分化することなく、主に筋束間隙に存在していることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の年度計画に対して項目1は遺伝子解析が若干遅れているが、それ以外の解析は順調に進んでいる。項目2についてはほぼ予定通り平成28年度計画が達成されており、さらに研究を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
骨組織再生研究では、歯髄幹細胞を用いて引き続き遺伝子解析と動物実験を行う。歯髄幹細胞をβ-TCPとHA上で培養し、骨形成関連遺伝子の発現を評価する。また、ラット頭蓋骨欠損部への歯髄幹細胞移植実験では、CERASORB (β-TCP)、NEOBONE(HA)を用いて移植を行う。細胞にはPKH26 Red Fluorescent Cell Linker Kitを用いてラベリングを行い、移植8日、16日、24日後の新生骨を3DマイクロX線CTにより観察し、骨体積率、骨塩量を計測する。続いて頭蓋骨移植部位の凍結切片を作製し、HE染色により骨形成の評価を行い,蛍光顕微鏡を用いて移植細胞の局在を評価する。 神経組織再生研究では、6週齢雄性ヌードマウスにストレプトゾトシンを投与し糖尿病状態を惹起させ、ヒト歯髄幹細胞の移植を行う。移植4週、16週後に生理学的検査(組織血流量)を行い移植効果の評価を行う。また、移植部位である後肢骨格筋を含む周囲組織を採取し、切片を作製しHE染色による組織学的評価、血管新生因子(VEGF、FGF)や神経成長因子(NGF、NT3)の遺伝子発現解析、移植細胞の動態、分化について引き続き検討を行う。
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Causes of Carryover |
今年度末に実験動物や試薬の購入に必要な予算を確保していたが、前年度に購入した試薬を用いたことより、実際に使用した費用が少なかったため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額については、翌年度分として請求した研究費と合わせて、追加で必要となった際の試薬の購入、研究の成果発表として学会発表、論文発表などへの使用を予定している。
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