2015 Fiscal Year Research-status Report
環動部位を有する新奇有機‐無機ハイブリッドマテリアルの開発
Project/Area Number |
15K20495
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
津田 進 大阪歯科大学, 歯学部, 助教 (50581021)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 生体吸収性材料 / 生分解性高分子 / シクロデキストリン |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、再生医療分野において、組織再生のための人工足場材に関する研究が盛んに行われている。本研究では、シクロデキストリンを用いて再生医療のための生体吸収性材料を指向した新奇の有機‐無機ハイブリッドマテリアルを開発することを最終目的としている。 まず、本研究の第一課題であるネックレス状の超分子構造体(ポリロタキサン)の形成を検討するため、環状化合物としてシクロデキストリン(α‐,β‐,およびγ‐CD)を,貫通化合物としてポリ乳酸(PLA)やポリグリコール酸(PGA)、ポリカプロラクトン(PCL)をそれぞれ購入して検討した。超分子構造体の形成は、通常の湿式法を適用して、水および水系混合溶媒中において検討し、核磁気共鳴法(NMR)、質量分析(MALDI-TOF)、液体クロマトグラフィー(HPLC)、元素分析を使って解析した。 また、材料に剛直性を持たせるためにポリロタキサン同士を適度に連結する必要があり、そのために、環状化合物に連結部位を導入することを検討した。具体的には各種金属と結合可能なカルベンやシクロペンタジエニル等の官能基をシクロデキストリンへ導入できるか検討した。既存法で得たシクロデキストリンモノトシル体を原料とすることにより、シクロデキストリンの一級水酸基側を分子変換し、前駆体となるイミダゾリウム塩誘導体やシクロペンタジエン誘導体を合成し、NMR、MALDI-TOF, HPLC, 元素分析等を用いて、得られた化合物を構造決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度の実施計画では、ネックレス状の超分子構造体の形成検討後、この構造体の分解性能を評価することとしていた。本実験開始にあたって、HPLCの購入の選定で時間を要し、HPLCによる検討評価が遅れたため、分解性能の検討には至っていない。今後検討していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度実施できなかった項目を検討するとともに、平成28年度に実施計画したハイブリッド化を目指す予定である。その他、新規次項を検討したいと考えている。シクロアミロースはグルコースが22~50程度重合した環状化合物であり、シクロデキストリンよりもより分解特性に優れている可能性がある。シクロデキストリンと同様の構造を有するシクロアミロースを環状化合物に用いて、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリカプロラクトン(PCL)などの高分子と新規の複合有機材料を作成したいと考えている。
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Causes of Carryover |
計画していた旅費が所属している講座費でまかなえたため、その分、余剰金として次年度に使用することとした。一部は試薬代・器具代に使用した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
有機材料、無機材料の購入、ガラス器具等の消耗品として使用する。
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