2017 Fiscal Year Research-status Report
脳内ATPaseに対する全身麻酔薬の作用に関する研究
Project/Area Number |
15K20499
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
長谷 由理 北海道大学, 大学病院, 助教 (20626121)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Na,K-ATPase / Ca-ATPase / F型ATPase / Propofol / Desflurane / Thiamylal / Thiopental / Sevoflurane |
Outline of Annual Research Achievements |
1.Na,K-ATPase活性,Ca,Mg-ATPase活性測定反応液中に,種々濃度の麻酔薬(propofol, pentobarbital, phenobarbital, thiopental, thiamylal)を添加して活性を測定することにより,各ATPaseに対する全身麻酔薬の作用を検討した.特に,Na,K-ATPase活性に対するバルビツール酸系薬物(pentobarbital, phenobarbital, thiamylal)の作用機構を中心に詳細に検討した.実験により以下の結果を得た.2.5 mM ATP存在下ではpentobarbital, phenobarbital, thiamylal いずれも濃度依存的にNa,K-ATPaseを抑制した.一方,5 mM ATP存在下ではthiamylalは Na,K-ATPase活性を濃度依存的に抑制したが,pentobarbital, phenobarbital はラット脳およびウサギ脳Na,K-ATPase活性を濃度依存性に促進した.この結果について解析し、考察をまとめて発表に至った.
2.吸入麻酔薬のATPaseに対する作用を検討するために,水溶液中の揮発性麻酔薬の濃度を正確に測定する必要があった.VOCセンサーを使用した吸入麻酔薬の簡便な濃度決定法の研究が順調に進み,論文としてまとめ、現在投稿先と連絡を取り合っている段階である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
年度途中で産前産後休暇・育児休業に伴う中断期間が生じた。その中断期間およびその前後においては、実験をはじめとする研究を行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
1.VOCセンサーを使用した吸入麻酔薬の簡便な濃度決定法に関する論文が受理されるよう,投稿作業を完遂する. 2.昨年度計画した研究内容の実施に努める.沸点の低いdesfluraneの取り扱い方法を改良して,実験計画を構築する.Na,K-ATPase活性に対するdesflurane,sevoflurane, isoflurane及びenfluraneの作用の測定を行う.まず, Na,K-ATPase活性及びEP量の測定を行う.また,活性及びEP量の測定の際に,各種濃度のdesflurane,sevoflurane, isoflurane及びenfluraneを添加することにより,これらの揮発性麻酔薬のNa+,K+-ATPase反応に対する作用を評価することができる.さらに,新規のdesfluraneの酵素活性に対する薬理学的な作用を,sevoflurane, isoflurane及びenfluraneの作用と比較して評価する. 3.Ca-ATPase,V型ATPase, F型ATPase及びBasal Mg-ATPase活性に対するこれらの揮発性麻酔薬の作用も検討する. 4.以上の研究成果を基に,全身麻酔薬の作用機構を総合的に再検討する.さらに,その成果を発表することを目標とする.
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Causes of Carryover |
年度途中で産前産後休暇・育児休業に伴う中断期間が生じた。その中断期間およびその前後においては、実験をはじめ、研究を行うことができなかった。 申請にて平成29年度に予定していた使用計画に必要な物品費、旅費、その他等に使用する計画である。
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Remarks |
北大歯科麻酔科懇話会にてNa,K-ATPase活性の基質阻害に対するバルビツール酸系薬物の作用について発表した(古賀瑞之、鈴木邦明、長谷由理、渋谷真希子、木村幸文、藤澤俊明)
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