2015 Fiscal Year Research-status Report
microRNAを切り口とした口腔癌発癌メカニズムの解明
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15K20501
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
内田 文彦 筑波大学, 附属病院, 医員 (70736008)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | miRNA / 白板症 / 発癌 / p62 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、白板症において特徴的な発現動態を示すmiRNAを明らかにして、既にある口腔がん関連miRNAの発現動態と比較し、癌化に関連するmiRNAを同定すること、さらには、白板症症例で癌化した症例に注目し、miRNAを切り口とした発癌のメカニズムを解明することを目的とするものである。しかし、研究実施計画の初年度の予定であった、白板症のFFPEからの抽出RNAの品質が悪く、miRNAの網羅的発現解析が遂行できていない。そこで、口腔白板症におけるp62の発現に関する病理組織学的・臨床的検討を行った。これは、「口腔がんにおける新しい予後予測マーカーとしてのp62」という当科で特許を取得している発明があり、口腔がん切除断端組織においてp62の発現が高いと予後が不良となるというものである。 結果は、白板症組織においてp62タンパクの発現が陽性であると悪性化のリスク因子となる上皮異型が有意に多くなることが明らかになった。このことから、口腔白板症におけるp62の細胞内蓄積が悪性化のマーカーとしての可能性を有しているとが示唆された。 この結果より、p62が前癌病変である白板症の発癌に関与している可能性が明らかとなったため、p62の発現を制御しているmiRNAに着目することが本研究の目的達成に繋がると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
miRNAは非常に小さく安定であり切除標本(FFPE組織)から抽出可能であるとされていたが、実際のFFPEからの抽出RNAの品質が悪く、miRNAの網羅的発現解析が遂行できていない。そのため、実験計画を変更してp62というタンパクの発現状態の評価を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
白板症のFFPEからではなく、新鮮凍結切片を作製しmiRNA抽出を行うこととする。症例数が予定数より減少するが、抽出miRNAの品質は良くなり、網羅的発現解析に用いることができると考えられる。 そして、当科の口腔がん組織におけるmiRNAの網羅的発現解析結果と比較し、発癌に関与するmiRNAの同定を行う。 また、白板症におけるp62の発現を制御するmiRNAの発現動態を明らかにし、p62の異常蓄積と白板症組織の悪性化についてのメカニズムを解明する予定である。
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