2017 Fiscal Year Research-status Report
舌癌術後症例の嚥下機能に対する咽頭後壁の代償性変化の研究
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15K20506
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
平井 秀明 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (60598895)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 舌癌 / 摂食嚥下機能 / ビデオ嚥下造影検査 / 咽頭後壁 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、摂食・嚥下障害に関する認識が広まるにつれ、患者層も小児から高齢者まで広がり、病院から施設までと様々な環境で摂食・嚥下訓練を行う機会が増えてきた。摂食・嚥下障害の対応法が患者によって異なるのは当然であり、万能な治療・訓練法がないのが実情である。患者情報をできるだけ収集し、綿密な検査を行い、対応することが重要となってくる。口腔癌、とくに舌癌においては食塊を形成し、咽頭へ送り込む舌を切除することとなる。また舌根部は咽頭後壁と接触し、下咽頭、食道へ食塊を送り込む嚥下圧の発生に関わっている。舌癌術後患者の摂食・嚥下機能評価および残存機能に応じた適切なリハビリテーション法を決定するにあたり、ビデオ嚥下造影検査(VFSS)、ビデオ内視鏡検査(VESS)、嚥下圧測定を用いた総合評価が望ましいとされる。また舌切除術を施行した患者において、残存臓器が切除された欠損部臓器の代償をしている可能性が考えられる。今回、嚥下の咽頭期に舌根と接触し嚥下圧を発生させる咽頭後壁に着目した。現在までに舌切除術を施行した患者における咽頭後壁の経時的動態変化と嚥下機能に関する報告は散在するのみである。当分野において舌癌と診断され、舌半側切除術以上を施行した患者で術前・術後に嚥下機能検査を施行した患者を対象としている。また嚥下圧検査は再現性に乏しく、信頼性が低いことが分かった。H29年度は舌半側切除以上の13症例のVFSSを施行した。今年度は今までの検査結果の分析と臨床的な摂食嚥下機能障害との関係についても検討を行い発表をしていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年4月~平成30年3月までに舌半側切除術、舌亜全摘、舌全摘と頸部郭清術を施行し、術前後にVFSSで摂食嚥下機能を評価した症例は46例(男性33例、女性13例)である。退院後も摂食リハビリ外来で嚥下訓練と検査を施行している症例と入院期間中で嚥下機能に支障がなく術後の長期にわたる検査が行えていない症例があり、予想より症例数が少ないのが現状である。ただこの研究期間中に経口摂取が行えない症例は認めなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き症例の蓄積は行うが、現段階で検査の終了した症例の分析を行い咽頭後壁の代償運動の有無に関して検討を行う。また術後の嚥下機能に影響をおよぼす因子は切除範囲、再建材料、患者自身の状態などが複雑に絡んだ結果であると考えられるが、最も影響を与える因子も可能なら明らかにしたいところである。これらの摂食嚥下機能に与える影響に関してまとめ、発表する予定である。
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Causes of Carryover |
(理由)VFSSの解析ソフトを購入しなかったため。 (使用計画)解析用のPCを購入したので、解析ソフトも導入し、本研究の詳細な解析を行う予定である。
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