2017 Fiscal Year Research-status Report
高齢者のヒト歯髄細胞の分化能とiPS細胞樹立効率を向上させるための基礎的検討
Project/Area Number |
15K20511
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
飯田 一規 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 助教 (30585237)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 歯髄細胞 / Sox11 / 骨分化 / iPS細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、これまで若年者のヒト智歯から歯髄細胞(Dental Pulp Cells : DPCs)を樹立し、DPCsが高い増殖・分化能(ステムネス性:幹細胞性)を有し、人工多能性幹細胞(iPS細胞)へ高率に誘導できることを明らかにした。DPCsは歯牙の成熟や加齢とともに、その樹立やステムネス性の維持、iPS細胞への誘導が困難となるが、低酸素下での培養によりこれらの問題を改善するに至った。しかしながら、成熟した歯牙、とりわけ高齢者から得られたDPCsは、ステムネス性やiPS細胞への誘導効率が低くく、再生医療に応用するためには、更なる原因の解明と改善が必要である。すでに我々は、未成熟歯牙と成熟歯牙から得られたDPCsの遺伝子解析から、key geneとしてSox11に注目し、歯質形成能や初期の骨分化マーカーの発現量との間に相関性があることを確認している。本研究では、DPCsにSox11を遺伝子導入し、ステムネス性、iPS細胞への誘導効率の向上についての評価を行う。さらに、Sox2、Klf4、Oct4、c-Mycの初期化遺伝子を組み合わせることにより、ステムネス性の更なる向上が得られるのかを検証する。 初年度ではレンチウイルスベクターを受託作成し、Sox11の歯髄細胞への導入を行った。次年度ではSox11導入細胞の骨分化実験を実施したが、アルカリフォスファターゼ活性の明らかな上昇を認めず、RT-PCRでも明らか骨分化マーカーの上昇を認めなかった。本年度では、Sox11導入歯髄細胞のiPS細胞化実験を行ったが、有意なiPSへの変換効率の上昇は認めなかった。しかし、Sox11導入細胞の神経分化実験を実施し、NGFやneurotrophin3など一部の神経分化マーカーの有意な上昇を認め、Sox11が歯髄細胞の神経分化に関係していることを突き止めた。今後は、メカニズムの解明およびvivoでの解析について検討を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Sox11導入歯髄細胞の神経分化マーカー上昇が認められ、歯髄細胞の神経分化においてSox11が有用である可能性が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
Sox11導入細胞における神経分化亢進のメカニズム解析を行い、in vivoでも評価ができないか検討を行う。
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