2015 Fiscal Year Research-status Report
AQPs阻害による癌細胞の増殖・浸潤・転移の抑制とそのメカニズムの解明
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15K20518
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石本 俊介 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 招へい教員 (40585725)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Aquaporin / 口腔扁平上皮癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
Aquaporin3(AQP3)やAquaporin5(AQP5)は水チャネルとして水透過に重要な分子で、近年、皮膚癌や肺小細胞癌など種々の癌組織においても高発現していることが報告されている。本研究では、AQP3およびAQP5の発現を制御することにより、癌細胞の増殖・浸潤・転移に影響を及ぼす可能性を検討し、さらにAQPs発現の抑制が癌治療のターゲットになりうるかどうかの可能性まで追求することを目的としている。平成27年度は、ヒト口腔扁平上皮癌組織切片におけるAQP3およびAQP5の発現、口腔扁平上皮癌培養細胞におけるAQP3およびAQP5の発現を検討し、その中間データを解析した。 抗AQP3抗体、抗AQP5抗体を用いた免疫組織化学染色の結果、染色を行った舌扁平上皮癌症例24例中23例において、癌部にAQP3、AQP5の発現を認めた。一方、同一組織切片上の非癌部組織においては、発現はほとんど認めなかった。癌部、非癌部におけるAQP3およびAQP5の発現強度をスコア化したところ、癌部と非癌部の間で両者の発現強度に有意な差を認めた。24例の組織切片を分化度別に比較検討したところ、各群において顕著な差は認めなかった。同一症例のAQP3、AQP5の発現をそれぞれプロットし相関性を比較検討したところ、両者の発現の間には正の相関を認めた。また、AQP3およびAQP5の発現と、年齢、性別、再発、飲酒暦、喫煙暦との相関性について検討したところ、関連性は認めなかった。 各培養細胞におけるAPQ3およびAQP5の発現をウェスタンブロッティング法にて検討したところ、舌扁平上皮癌由来のSAS、SCCKNおよび歯肉扁平上皮癌由来のCa9-22において、AQP3、AQP5の高発現を認めた。以上より、AQP3およびAQP5の高発現は、口腔扁平上皮癌において何らかの役割を果たしていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
予備的検討に用いた研究試料(培養細胞、FCS、抗AQP3抗体、抗AQP5抗体等)を保存していたフリーザーが故障し常温化したため、フリーザーの購入および試料の再購入を余儀なくされた。そのため、当初計画していたsiRNAを用いた培養細胞の発現・増殖への影響の検討が行えていない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、27年度に行えなかったsiRNAを用いた検討を継続する。また、汎AQP阻害剤を用いた培養細胞への影響も検討し、AQPsが癌細胞に及ぼす影響のメカニズムを解析する。また、扁平上皮癌以外の癌組織におけるAQPsの発現の有無も検討する。
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Causes of Carryover |
予備的検討に用いた研究試料(培養細胞、FCS、抗AQP3抗体、抗AQP5抗体等)を保存していたフリーザーが故障し常温化したため、フリーザーの購入および試料の再購入を余儀なくされた。そのため、当初計画していたsiRNAを用いた培養細胞の発現・増殖への影響の検討が行えていない。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は、27年度に行えなかったsiRNAを用いた検討を継続する。また、汎AQP阻害剤を用いた培養細胞への影響も検討し、AQPsが癌細胞に及ぼす影響のメカニズムを解析する。また、扁平上皮癌以外の癌組織におけるAQPsの発現の有無も検討する。
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