2015 Fiscal Year Research-status Report
脂肪幹細胞(ASC)とFibrinを用いた骨芽細胞シートによる骨形成能の評価
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15K20527
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松原 正和 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (50736551)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 骨再生 / 脂肪幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
<研究目的>これまで骨再生分野において骨髄由来幹細胞が主流であったが、近年脂肪組織由来の間葉系幹細胞(Adipose mesenchymal stem cell:ASC)を用いた試みが注目されている。本研究ではASCを用いた再生療法を想定し、In Vitroでの細胞特性を調べ、さらに硬組織欠損および軟組織欠損モデル動物を用いたIn Vivo実験までを一貫して行いその有用性を検討する事を目的としている。そして各欠損モデルへの移植法には新たな試みとして同種血液より精製したフィブリンシートとASCの複合移植を行い、その有用性を多角的に検証する。本研究は完全自己由来の移植法をモデルしたものであり、倫理的また安全性を重視する再生分野において新規性のある研究である。 <研究業績>本研究にて樹立したASC細胞株は現在30代の継代培養している。In vitroにおいてこれまでに脂肪・軟骨・骨への分化誘導実験を行っており、これら細胞への分化能を確認している。骨分化においては遺伝子レベルでの解析を行っており、骨誘導後にオステオカルシン、Runx2の発現が確認された。また細胞表面マーカーをフローサイトメトリーにて調べた結果、ASCは骨髄由来幹細胞(BMSC)との相違性がある事が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は概ね順調に進行している。初年度の研究目標は達成しているため、本年度はIn vivoにおけるASCの移植実験を中心に行う予定である。予期していない事態で研究遂行の支障となる場合は、研究体制の変更や研究の一部を委託するなどの措置を行う。特に研究体制については、本研究に関わる大学院生や、関連講座などからの技術的支援を要請する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はASCのIn Vivoにおける移植実験を中心に行う。詳細については以下の通りである。 ①フィブリンシートを基盤とした骨芽細胞シートの精製:ASC採取時に同一ドナーより採血した血液をRodellaらの報告にて開発された遠心分離システムMEDIFUGE○Rを使用しFibrinogenおよびThrombinを分画する。これらをシャーレ内で反応させ、成長因子を含んだFibrin重合体(フィブリンシート)を作成する。ASCを骨誘導下にて共培養した後に回収し、フィブリンシート時にシート内に封入させる事で骨芽細胞シートが精製できる。 ②ヌードマウスを用いた骨芽細胞シート移植実験:移植動物としてヌードマウス(BALB/c,雌性,6週齢)を用いる。吸入麻酔後に背部皮下組織内および頭部前頭骨骨膜下に切開を行い作成した骨芽細胞シートを移植する。移植後2,4,6週群を設定し、期間終了後に移植片の摘出を行う。また移植部位における細胞の生存は470nmのGFP照射装置にて確認を行う。また骨形態計測解析ソフトウェアは高額機器であるためレンタルにて対応する。 ③X線学的解析による形成骨の形態学的検討:摘出移植片は10%ホルマリン固定後動物用μCT撮影装置(R-mCT,Rigaku社製)を用い10マイクロメートルのスライス幅で撮影を行う。撮影した画像は骨形態計測解析ソフトウェア(TRI/3D-BON,RATOK社製)にて3次元構築を行い骨形成パターンについて形態学的に検討する。また形成された骨組織の微細構造、特に新生骨内への血管新生や同所移植(頭部骨膜下)、異所移植(背部皮下組織)における形成骨の相違点についても検討を行う。当研究施設には上記記載装置が無いため、当項目の実験は主に外部研究施設と連携し行う。
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Causes of Carryover |
初年度使用額が予定していた予算以内で遂行できたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
試薬など消耗品関係で消費する計画である。
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Research Products
(3 results)