2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K20529
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
石田 扶美 (田中扶美) 広島大学, 病院(歯), 歯科診療医 (60625979)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | EMT / 口腔癌 / Snail |
Outline of Annual Research Achievements |
舌癌由来細胞株OM-1に転写因子Snailを導入してEMTを条件依存的に誘導したOM-1_Snailは、サイトカイン刺激だけでなく細胞運動可能領域を与えることが重要であり、EMTが生じたから細胞運動能を獲得したのか、或いは、細胞運動可能領域に接することがEMTのトリガーとなるのか、まだ判断できない。いずれにしても、このOM-1_SnailのEMT誘導と強度はin vitroで制御可能である。さらに、SnailとSlugは細胞内において生理的には同時に発現しない。そこで、OM-1にSnailおよびSlugを強制的に発現させたOM-1_Snail_Slugを樹立し、90%以上の細胞が安定してEMT形質をしめすことができた。そしてコントロールとして、OM-1にSlugを強制発現させたOM-1_Sligをも樹立した。これら細胞の分子発現プロファイルをRT-PCRと、蛍光免疫細胞染色法で細胞個々における発現の違いを見ることで、EMTの強度の違いを分子レベルで見出してからEMT強度調節因子への探りを開始した。RT-PCRではCD44やESAだけでなく上皮細胞マーカー、扁平上皮以外の上皮系(外胚葉)分化マーカー、間葉細胞系(中胚葉)未分化・分化マーカーなど数十種のプライマーを用いて検索した。また、各細胞の低濃度培養して増殖能を検討後、一個の細胞から形成されるコロニーにおいて重層上皮幹細胞マーカーとして知られるp75の発現と局在を検討することで、癌細胞のアイデンティティーとしての上皮形質の本質を検索し、その上でEMTマーカーや未分化マーカーなどで蛍光免疫細胞染色法を用いて発現とそれら局在について大量にデータを収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はEMT調節因子の同定を目的とした、可逆性EMT誘導モデルの分子発現プロファイルの作成と、個々の細胞における分子発現局在を徹底的にデータを収集し、来年度の解析のための準備が整った。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に収集した大量のデータを解析し、EMT調節因子の同定を試みる。もちろん、本年度に収集したデータを元に、さらなる追加データが必要となってくるので、引き続き、解析結果から分子生物学的解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
初年度(昨年度)は健康上の問題で、実験をほとんど行えず、本年度へ持ち越しとなった。本年度は充分に実験を行い、研究も進行したが、計画通りだったために持ち越した金額を使うには至らなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今回の差額は次年度に持ち越す。平成29年度の経費と合わせて適切に執行する予定である。
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