2018 Fiscal Year Annual Research Report
Effecters of EMT intensity in oral cancer
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15K20529
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
石田 扶美 (田中扶美) 広島大学, 病院(歯), 歯科診療医 (60625979)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | EMT / 浸潤 / Snail |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は申請者らが確立した口腔癌細胞をベースにしたin vitroで制御可能な条件依存的EMT誘導モデルを用い、口腔癌に特異的なEMT強度制御マーカーの抽出と、その分子生物学的システムの理解を目的とした。舌癌由来細胞株OM-1に転写因子Snailを導入してEMTを条件依存的に誘導したOM-1_SnailをEMTの基準とし、親株OM-1のサイトカイン刺激によるEMT誘導、OM-1にSnailのファミリー分子Slugを導入したOM-1_Slug(EMT強度は弱い)、さらにOM-1_Snailにサイトカイン刺激してさらにEMT強度亢進など、多段階のEMTが観察できるこのモデルにおいて、各種幹細胞マーカーを用いて幹性ならびに分化の視点からmRNAの発現をRT-PCRで、各種マーカーの発現細胞の分布をフローサイトメトリーで解析をおこなった。EMT強度が高くなるにつれ、多能性幹細胞マーカーが上昇するのではなく、発現する組織幹細胞マーカーの移行を認めた。この結果はEMT誘導因子Snailが分化を逆行させてEMTを誘導するとする、現在広く受け入れられている考え方とは異なる結果であった。幹細胞マーカー発現細胞の分布解析結果は、EMTの段階で移行する組織幹細胞マーカー発現細胞はどのEMT強度の癌細胞においても全体の一部であり、癌細胞全てが未分化マーカーの発現上昇を示すものではなかった。つまり、いづれのEMT段階の癌細胞に分化的ヒエラルキーが存在することが示された。そこで、各種細胞において分化マーカー発現を検索したところ、未分化マーカー発現しないEMT表現型を示す癌細胞の分化指向性は不明瞭であった。これら結果から、段階的EMT解析によるEMT強度のマーカーとなるべき分子を特定することは困難であり、幹性とEMTとの関連性は複雑であることが明確となった。
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