2015 Fiscal Year Research-status Report
血管作動性小腸ペプチドの口腔粘膜創傷治癒、炎症制御機能の解明と治療薬としての応用
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15K20530
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
福井 暁子 広島大学, 大学病院, 歯科診療医 (50647550)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 血管作動性小腸ぺプチド / VIP / VEGF / VPAC / 口腔粘膜上皮細胞 / 口腔粘膜線維芽細胞 / 抗菌作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経ペプチドやペプチドホルモンは神経伝達物質としての機能だけでなく,様々な機能を持っていると考えている。血管作動性小腸ペプチドvasoactive intestinal peptide (VIP) は小腸の血管拡張物質として発見された28個のアミノ酸からなる神経ペプチドである。当科のグループではVIPが細菌に対して抗菌活性をもっていること,さらに唾液中に存在する抗菌ペプチドであるLL-37の抗菌活性を相加・相乗的に増加させることを報告している。さらに申請者らのグループはVIP の受容体であるVPAC1,2 が口腔粘膜上皮細胞において発現していること, VIP を添加した際に口腔粘膜上皮細胞のvascular endothelial growth factor (VEGF) の発現誘導と,細胞遊走能が増加することを発見している。一方,近年ではVIP,VPAC の発現が炎症性腸粘膜疾患の炎症レベルで異なること,さらにVIP が炎症性腸粘膜の炎症を抑制することが報告されているが,VIP, VPACの発現と口腔粘膜炎症性疾患との関与や,VIP が口腔粘膜における抗炎症作用をもつ報告は国内外においてもない。今回の実験計画は口腔粘膜細胞を用いてVIPによる創傷治癒作用や抗炎症作用といった多彩な新規メカニズムを明らかにし創傷治癒薬あるいは口腔粘膜炎症性疾患に対する新しい治療法を検討することである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は口腔粘膜細胞におけるVIPによる増殖,遊走因子の発現誘導と微生物構成成分を介した粘膜炎症の調節に対する検討を行った。口腔粘膜上皮細胞へのVIP添加による細胞増殖の影響をproliferation assayにて検討した結果,VIP 添加は非添加と比較し口腔粘膜上皮細胞の細胞増殖活性が増加することが示された。さらにVIP添加による粘膜創傷治癒因子mRNAの発現誘導の影響をReal-time PCR で検討した結果, VIPによって濃度依存的にVEGFA, VEGFB, TGF-beta, IL-6 mRNA の発現が増加することが示された。さらにVIPの抗炎症作用を検討するため ds DNA 細胞内導入によって誘導される炎症性ケモカイン発現誘導に対するVIP の影響をELISA 法にて検討した結果,VIP が ds DNA 細胞内導入で誘導されるCXCL10 の発現を抑制することが示された。以上の結果によってVIP が口腔粘膜において抗菌作用,創傷治癒,抗炎症作用を併せ持つペプチドであることが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はVIP の前年度で明らかとなった新規機能がVPAC1,2 を介した応答であるかを検討するため,VPAC1,2 のSiRNA欠失株を用いてVIP を添加した際の粘膜治癒因子の増加,炎症誘導作用の調節をELISA 法を用いて検討する。またVIPの標的蛋白を検討するため平成25年度で得られた結果からVIP で誘導される細胞増殖,遊走,分化,炎症における各種シグナル伝達阻害剤における影響を昨年度の実験系によって確認した後,cAMP/PKA, ERK,NF-kB などの各種転写因子の誘導をWestern blotting 法で検討する。さらにVIP を臨床応用するためVIP 含有ゼラチンハイドロキシゲルシート(VIP含有シート)を作製しVIPの徐放濃度をELISA 法にて検討する。VIP の徐放が確認された場合,口蓋粘膜を切傷した創傷治癒モデルラットを用いてVIPの創傷治癒効果を検討する。
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