2016 Fiscal Year Research-status Report
変形性顎関節症における幹細胞の局在と顎関節修復機構の解明
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15K20573
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
安田 忠司 朝日大学, 歯学部, 講師 (00410473)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 顎関節 / 胎生期ラベリング法 / 変形性顎関節症 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】1)マウス顎関節における組織幹細胞の局在の探索を胎生期ラべリング法を用いて組織学的に解析する。2) 顎関節症モデルによる顎関節の組織学的変化と組織幹細胞の動態を免疫染色にて解析する。3) 顎関節をμCTにより解析する。 【結果】老化促進マウス(SAM)のうち変形性顎関節症を自然発症するSAMP8を供試しBrdU (5-bromo-2’-deoxyuridine)を一定期間投与することにより分裂した細胞をラベルし, 一定期間の無投与期間後(2, 3ヶ月)顎関節部にラベルを保持し続けた細胞(LRCs)の局在を調べた結果, 関節包, 靭帯関節円板に局在した。また間葉系幹細胞マーカーであるSTRO-1, CD146抗体を用い蛍光免疫二重染色を施しLRCsとするのを確認した。SAMP8の顎関節は軟骨表面が粗造になり下顎頭の形態変化を認めた。また下顎枝の長さが対照群であるSAMR1と比較し減少した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
胎生期ラベリング法の確立し, 組織学的評価が順調に進行できている。十分な予備実験を行ったためと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
靭帯, 関節円板, 下顎頭損傷モデルには胎生期ラベリング法を行った4週齢マウスから顎関節部を摘出し各部位に損傷を加えたのち,器官培養を行い, 組織の再生過程における組織幹細胞の動態を追求し, 顎関節部再生過程の特異性を明らかにする。顎関節の組織学的変化および細胞増殖活性(PCNA), 細胞死(TUNEL), tenomodulin(腱靭帯の強靭結合組織に発現)について観察する。scleraxis(腱, 靭帯の組織幹細胞マーカー) 骨代謝関連遺伝子(ColⅠ,osteoponcin, MMP9, MMP13, Osterix)のプローブを使用する。SDF-1, BMP刺激による靭帯, 関節円板, 下顎頭損傷後の治癒過程に対する作用を明らかにする。炎症性サイトカインの1つであるSDF-1は骨髄や心臓など組織が修復される際の関与が報告されており間葉系幹細胞の損傷部への集積を促進し, 集積した骨髄間葉系幹細胞により治癒作用を促進させることが報告されている。靭帯, 関節円板,下顎頭軟骨損傷モデルにSDF-1, BMPを投与することにより軟骨損傷部の治癒過程を促進させるメカニズムを明らかにし有効性の検討をする。細胞増殖, 細胞死, tenomodulinについて観察しscleraxis,ColⅠ,osteoponcin, MMP9, MMP13, Osterix についても検討する。顎関節再生メカニズムの解明は顎関節症の病態を明らかにする。
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