2015 Fiscal Year Research-status Report
Vγ9Vδ2T細胞を用いた口腔癌の新規免疫細胞療法の開発
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15K20574
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
辻 要 大阪歯科大学, 歯学部, 助教 (80632083)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | Vγ9Vδ2T細胞 / γδT細胞 / 口腔癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト末梢血から得たPBMCをIL-2とzoledronate存在下で培養することで、大量のVγ9Vδ2T細胞を得ることができた。Vγ9Vδ2T細胞は、zoledronateで処理した口腔癌細胞株と共培養することで活性化できることを、複数のドナー由来のVγ9Vδ2T細胞を用いて確認した。活性化の指標としてインターフェロンγ発現をもちいた。癌細胞を処理するzoledronateの濃度に依存してVγ9Vδ2T細胞によるインターフェロンγの産生量が増加した。また、Vγ9Vδ2T細胞が口腔癌細胞にアポトーシスを誘導することを複数の口腔癌細胞株を用いて確認した。細胞死の評価は癌細胞への蛍光標識Annexin Vの結合により評価した。以上の結果からVγ9Vδ2T細胞はビスホスホネート処理をした口腔癌細胞を認識し、活性化され、殺傷することが明らかとなった。 Vγ9Vδ2T細胞はそのT細胞受容体であるVγ9Vδ2TCRにより標的細胞のBTN3A1を認識する。またNKG2Dにより標的細胞のNKG2DLsを認識する。このため、口腔癌細胞上に発現するこれらのリガンドをFACSにより解析した。検討したすべての口腔癌細胞株でBTN3A1の発現を確認した。またNKG2DLであるMICA/B、ULBP1,2,3,4,5,6の発現を特異抗体を用いて解析した。その結果用いた口腔癌細胞により発現するNKG2DLの種類は異なるものの、すべての細胞株で少なくとも1つ以上のNKG2DLの発現を確認した。以上の結果からVγ9Vδ2T細胞は口腔癌細胞を特異的受容体により認識し活性化、殺傷することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Vγ9Vδ2T細胞が複数種類の口腔癌細胞により活性化されることが明らかとなった。 また細胞傷害実験の系も口腔癌細胞とVγ9Vδ2T細胞を用いた系で再現することができた。以上の結果から、Vγ9Vδ2T細胞による口腔癌細胞抑制というモデルが、in vitro に限ってではあるが、単年度(27年度)の研究で明らかとなったため、研究は順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度の研究で、口腔癌をVγ9Vδ2T細胞により抑制することがin vitroでは可能であることが示された。次年度はin vitroで得られた知見が生体でも再現できるかを検討する予定である。ヒト細胞を移植するために免疫不全マウスを用いる。用いるマウスはNSGマウスで、ヒトのリンパ球を移植する系として最も優れており、本研究で用いる動物実験の系としては適していると考えられる。また同時に、口腔癌細胞が発現することが明らかとなったNKG2DLsを抗癌剤などで更に誘導し、Vγ9Vδ2T細胞による殺傷効率を良くすることができるかなども同時に検討する。
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Causes of Carryover |
複数のドナー由来のγδT細胞の増幅が順調に進んだこと、γδT細胞の口腔癌細胞による活性化が順調に進んだことにより、当初の予想よりも用いる消耗品の量を削減することができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は免疫不全マウスへのγδT細胞、口腔癌細胞の移植を行い、生体内での評価系を確立するとともに本年度のin vitorの結果の生体での再現を試みる。免疫不全マウス(NSGマウス)は大変高価であるために、生じた次年度使用額と次年度予算を用いることで、次年度の研究がよりスムーズに進むものと考えている。
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