2015 Fiscal Year Research-status Report
認知機能の賦活化による唾液分泌促進機序の解明:脳腸モデルとオプトジェネティクス法
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15K20603
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
植田 紘貴 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (10583445)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 唾液分泌 / 内臓感覚 / 神経生理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、内臓感覚の賦活化が唾液分泌や嚥下反射を含む顎口腔機能に与える影響とその機序を明らかにすることを目的とした。本課題では顎口腔機能に対する内臓感覚が唾液分泌や嚥下反射にどのような影響を与えるかに関してラットを用いて検証を行った。本年度の結果は3点に要約された。 1)内臓感覚賦活化物質の一種は、頚部における迷走神経求心路の発火頻度を増加した。 2)内臓感覚の伝達経路と考えられる迷走神経の電気刺激は、刺激頻度に応じて顎舌骨筋のリズミカルな筋活動と唾液分泌を有意に増加した。 3)顎舌骨筋の活動が唾液分泌に与える影響を検証するため、筋弛緩薬投与下において2)と同様の実験を行った結果、迷走神経の電気刺激による顎舌骨筋の活動は消失したが、刺激頻度に応じて唾液分泌が誘発された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
内臓感覚の賦活化物質の一種が頚部における迷走神経求心路を活性化したこと、および内臓感覚の賦活化が唾液分泌および嚥下反射を誘発したことから、唾液分泌や嚥下反射に関与する経路の一つとして迷走神経求心路が重要な役割を果たしていることが示唆された。本成果は昨年度の鹿児島大学大学院医歯学総合研究科口腔先端科学教育研究センター発表会において口腔先端科学優秀賞を受賞した。英文誌に投稿予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
内臓感覚の賦活化が認知機能に与える影響を検討するため、まず内臓感覚刺激前後の大脳皮質の局所脳波の記録を行う計画である。さらに、前頭前野を含む大脳皮質の局所刺激が唾液分泌や嚥下反射等の顎口腔機能の与える影響を検討する計画である。
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Causes of Carryover |
当初購入を予定していた機器に関して、共同利用施設の機器を利用することができたため、当初の計画より使用額を削減することができたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
迷走神経の電気刺激前後の唾液分泌、嚥下運動を含む顎口腔機能を記録するとともに、前頭前野を含む大脳皮質の局所脳波の記録を実施する計画である。さらに、前頭前野を含む大脳皮質の局所刺激がこれらの顎口腔機能に与える影響を検討する計画である。
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