2015 Fiscal Year Research-status Report
小児における口呼吸が誘発する異常咀嚼・嚥下機能の3次元動態解析
Project/Area Number |
15K20604
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
武元 嘉彦 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (70452943)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 嚥下動作 / モーションキャプチャ / 三次元動作解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
嚥下動作における複数の関連器官の協調動態の簡便かつ客観的評価法が求められている。障害や加齢に伴う口唇機能低下は誤嚥性肺炎のリスクを増加させるため、嚥下時の生理的な口唇機能の評価法も望まれるが、口唇周囲筋の作用により、嚥下時に口角は外側へ伸展すると報告されているので、口角の動きの定量評価は、嚥下時の生理的な口唇機能の評価法になると考えられた。以上より、簡便な方法を用いて嚥下時の口角の動きを三次元解析し、嚥下時舌圧を同時評価し、嚥下時の口唇と舌の協調動態を検討した。 健常成人男性9名を対象にモーションキャプチャを用いて嚥下時の口角の三次元動態を計測し、切歯乳頭部の嚥下時舌圧を同期計測した。5mLと20mLの水を一口で嚥下させ、各々3回計測し、嚥下時の最大舌圧値、最大口角間距離変化量、舌圧が最大となる時間と口角間距離変化量が最大となる時間の差(口唇-舌 時間)を算出した。上記3項目における水量の相違による差についてWilcoxon検定を行い、3項目の個体間変動と個体内変動を求めて解析した。 一口量の増加に伴う最大舌圧値の差はなかったが、口角間距離変化量は有意に大きく、口唇-舌時間は短くなったので、一口量が増すと、舌は安定して作用するが、口唇を大きく動かして補助してタイミングを調整するために口唇-舌時間が短くなったと推察された。最大舌圧値と口角間距離変化量の個体内変動が個体間変動よりも小さかったことより、各被験者の舌の挙上と口唇の動きは安定しており、一口量の増加により、口角間距離変化量と口唇-舌 時間の個体間、個体内変動が小さくなったので、多量の水を一口で嚥下するには、舌と口唇のより密接な協調性が求められたと推察された。 以上より、口角の三次元動態解析は、嚥下時の生理的な口唇機能の客観的評価法として有効であり、複数の関連器官の協調動態の評価は、嚥下動作の解明に繋がると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
困難と予想された嚥下動作時の口唇の三次元動作解析によって、嚥下時舌圧との同時評価による口唇と舌の協調動態に関する英語論文が発表できた。
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Strategy for Future Research Activity |
口唇の三次元動態と嚥下音を同時評価することで、咀嚼してから嚥下するまでの動作の定量評価をするシステムを確立したい。
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Causes of Carryover |
嚥下動作における口唇機能の生理的評価法に関する英語論文作成に時間を費やし、嚥下音の研究の進行が少し遅れたので。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
嚥下時の口唇の三次元動態解析に関する研究を英語論文に掲載できたので、嚥下音と口唇の三次元動態を同時評価するための追加計測・解析し、学会発表や英語論文の校正・投稿費用に使用する。
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Research Products
(5 results)