2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of control system for periodontopathic biofilm using SspB peptide
Project/Area Number |
15K20610
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
伊藤 龍朗 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (60635126)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 小児歯科 / バイオフィルム / SspBペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
小児う蝕の減少および軽症化傾向の一方で、歯周疾患における低年齢での増加傾向が近年問題視されている。歯周疾患をはじめとする口腔内感染症は、口腔細菌により形成された生態系であるバイオフィルムに起因しており、ペリクルや口腔粘膜へ細菌が付着することから始まる。また口腔内バイオフィルムは薬剤耐性遺伝子のリザーバーであり、従来の殺菌的・静菌的な制御法とは異なる新規バイオフィルム制御法の確立が望まれている。 Porphyromonas gingivalisは、初期定着細菌Streptococcus gordoniiが有するSspBへと結合する性質を持つ。そこで申請者はこの関係性に着目し、SspB相同ペプチドを利用する着想に至った。本研究では、SspB-歯周病原性細菌-ヒト唾液の三者間における相互作用をin vitroにて検証した。 その結果、SspBペプチドのP. gingivalisへの結合は、口腔常在菌と比較して有意に高い値を示した。P. gingivalis菌株間の比較においては、Mfa1線毛を持つ33277株とSspBペプチドとの結合が、Mfa1線毛を欠くW83株に対して有意に高い値を示した。またP. gingivalisのSspBペプチドへの結合は、唾液中タンパクgp340存在下で有意に増加した。以上より、P. gingivalisのMfa1線毛-SspB-gp340の三者が一体となってP. gingivalisの付着をサポートしているという示唆を得た。本研究成果はP. gingivalisの付着とバイオフィルム形成について新たな示唆を得た事から、歯周疾患予防を目的としたバイオフィルム新規制御の確立に貢献すると考えられる。
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