2016 Fiscal Year Research-status Report
ヒト歯根膜由来間葉系幹細胞の骨芽細胞分化に関与する新規遺伝子の探索
Project/Area Number |
15K20617
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
山田 梓 北海道医療大学, 歯学部, 助教 (30708847)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 間葉系幹細胞 / 骨芽細胞分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯周病は歯周組織の炎症により歯槽骨が吸収され歯牙の喪失を生じうる細菌感染性炎症疾患である。現在行われている歯周組織再生療法は、その適応や骨再生量に限界があるため、新たな歯周組織再生療法の開発が期待されており、その一つとして間葉系幹細胞を用いた細胞治療が注目されている。我々はヒト歯根膜由来間葉系幹細胞に着目し、ヒト歯根膜から作成した細胞シート(歯根膜シート)が歯周組織再生に有効であることを示している。歯根膜シート作成時には石灰化誘導培地(OIM)にて骨芽細胞分化誘導を行なっているが、OIMによるヒト歯根膜由来間葉系幹細胞の骨芽細胞分化メカニズムには明らかでない点も多く、未知のファクターが関与している可能性もある。そこで本研究では間葉系幹細胞の骨芽細胞分化に関与する新規遺伝子の探索を行い、その作用の解明を目的としている。 ヒト歯根膜由来間葉系幹細胞の骨芽細胞分化に関与する分子を網羅的に解析するため、健康なドナーから採取したヒト歯根膜由来間葉系幹細胞を石灰化誘導培地または非誘導培地にて4, 7, 14日間培養後Total RNAを抽出し、次世代シークエンサーによるホールトランスクリプトーム解析を行った。その結果、これまで骨芽細胞分化との関連があまり示されていなかった複数の遺伝子に有意な発現変化を認めた。これらについてsiRNAトランスフェクション等により機能解析を行なったところ、一部の遺伝子にアルカリフォスファターゼ活性の上昇などの骨芽細胞分化と関与する可能性が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在までにヒト歯根膜由来間葉系幹細胞の骨芽細胞分化に関与する可能性がある新規遺伝子を探索するため網羅的遺伝子解析や候補遺伝子の作用の解明を行なっているが、使用する細胞により結果の差が大きいため候補の選定や機能解析に時間を要している。 また研究の進行過程において、研究代表者の身分変更に伴い研究に従事できる時間が減少してしまったこと、及び所属機関を変更したことにより進捗状況はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
候補となる遺伝子について、siRNAによるノックダウンや強制発現またはリコンビナントタンパクを添加した際の骨芽細胞分化に及ぼす影響について検討する。使用する細胞により結果に差が出ることから、さらにサンプル数を増やし検討を行う。また、ヒト歯根膜由来間葉系幹細胞だけでなく、骨髄など他の細胞由来の間葉系幹細胞についても同様の実験を行い骨芽細胞分化に関与する遺伝子の探索および機能解析を行う。
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Causes of Carryover |
消耗品の購入金額が予定より少額となったこと、及び予定していた国際学会への参加を取りやめたため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
引き続き細胞を使用した実験を行うため、その費用の一部に充当する予定である。
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Research Products
(2 results)