2015 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト歯周炎ポケット上皮側のレドックス環境解析とペルオキシレドキシンの放出制御
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15K20618
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
江部 典子 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (20611099)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ペルオキシレドキシン / 酸化ストレス / 歯周病 |
Outline of Annual Research Achievements |
活性酸素(ROS)は生体のシグナル伝達として重要であるが、炎症では過剰なROSが誘発される。慢性炎症性疾患である歯周炎患者の血中から酸化ストレスマーカーの上昇が報告されているが、逆に歯周炎組織では低酸素シグナルの上昇が報告されている。しかし、実際に両者を組織学的に解析した報告はない。また、近年、酸化ストレスに対して細胞内で保護に働くペルオキシレドキシン(Prx)が、脳虚血疾患では、細胞外に放出されて炎症を惹起すると報告された。しかしながら、歯周炎でのPrx放出および歯周組織の分布に関しては報告がない。よって本申請課題では、ヒト歯周炎ポケット上皮側のレドックス環境の把握とPrxの放出制御について解析する。 ヒト歯周組織における解析(歯周炎および健康歯肉組織の酸化ストレス状態と低酸素状態の分布の解析):ヒト歯周炎ポケット上皮細胞の核に低酸素シグナルのHIF-1αの発現があり、逆に歯肉上皮で発現がないことを確認した。また、歯周炎と健康歯肉のポケット上皮側での比較では、歯周炎炎症性細胞の核にHIF-1αの発現が認められ、健康歯肉では炎症性細胞の発現が少ない傾向が認められた。Prxの発現も同様に、歯周炎ポケット上皮側の上皮細胞の核・および炎症性細胞の核で発現が認められた。特に炎症の著しい部位に関しては顕著であり、歯肉上皮にまで炎症が波及している場合には、遊走した炎症性細胞の核にもPrx発現が認められた。これらのことから、急性炎症時の歯周組織では、低酸素状態および酸化状態が混在していると考えられた。 歯肉溝滲出液におけるPrxの放出を測定に関しては、解析中である。
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Research Products
(1 results)