2017 Fiscal Year Annual Research Report
Inhibitory effects of inflammation by targeting caveolin-1 in connective tissue.
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15K20622
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
冨川 知子 (山口知子) 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (90580267)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 歯周病 / IL-6 / 慢性炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
IL-6は歯周病の炎症病態を増悪させるサイトカインであり,歯周病病巣における歯肉線維芽細胞の動態について,IL-6の作用を中心に解明してきた。これまで,IL-6は歯肉線維芽細胞の血管内皮細胞増殖因子(VEGF)やカテプシン産生を亢進することが明らかにされている。また,動物実験に置いて,マウス微弱炎症モデル(IL-6炎症モデル)を作成した結果,血清中IL- 6濃度が上昇するとともに,血清中の前駆体カテプシンBとLの濃度は低下し,血清中のカテプシンBとLの濃度が上昇することも明らかになった。本研究では,これまでに得られた知見をもとに,主に臨床的検討を中心に,IL-6をとりまく歯周炎症のメカニズムを解明し,その制御を目指すことを目標として研究を進めてきた。これまでの研究の実施状況を報告する。 臨床的検討において,歯周病患者群および歯肉炎患者群において,健常者群と比較した場合,血清中の高感度IL-6が高値となり,高感度CRPの値は高感度IL-6の値と相関する傾向がみられた。また,歯肉炎患者群において,歯周病患者群および健常者群と比較した場合,血清中のカテプシンBの活性は高くなる傾向がみられた。 以上のことから,IL-6によって増悪した歯周炎症には,カテプシンBが関与しており,またカテプシンBは歯肉炎のような結合組織における炎症の段階において最も関与していることが示唆された。これによって,将来,歯周病悪化を抑制制御し得ること,また歯周病前駆段階での疾患の早期発見に寄与し得る可能性があることが考えられる。
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