2015 Fiscal Year Research-status Report
糖代謝からみる口腔Bifidobacteriumの齲蝕関連性について
Project/Area Number |
15K20635
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
安彦 友希 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (00470170)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Bifidobacterium / 糖代謝 / う蝕 |
Outline of Annual Research Achievements |
Bifidobacteriumは腸内細菌として知られているが、近年、選択培地の開発により、ヒト口腔内、主に齲蝕病巣から特徴的に検出されることが明らかになってきた。口腔内に存在するBifidobacteriumは、その酸産生能・耐酸性能により、齲蝕が発生しやすい環境作りに寄与していることが予測される。しかし、これまでに口腔内を模した環境での糖代謝の様相、また、炭素源(糖)の違いによる代謝機構の変化については検討されておらず、口腔環境におけるBifidobacteriumの役割は不明である。そこで本研究では、口腔疾患に対する口腔Bifidobacteriumの影響について、糖代謝の側面から検討した。 口腔内から検出されることが確認されているB. dentium JCM1195株, B. longum subsp. longum JCM1217株と主要な腸内BifidobacteriumであるB. bifidum JCM1255株を用いて、グルコース、希少糖(D-Psicose、D-Allose)とオリゴ糖(ガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖)を添加した場合の、増殖能について検討した。 その結果、希少糖ではいずれの菌株でも増殖が見られず、増殖に対し何らかの抑制作用があることが示唆された。希少糖の細菌増殖抑制機序については不明で、今後検討が必要である。B. dentium とB. longumは、グルコース、ガラクトオリゴ糖 、フラクトオリゴ糖で同じ増殖能を示したことから、炭素源の違いは増殖に影響を与えないことが分かった。一方でB. bifidum はフラクトオリゴ糖で増殖が見られず、またガラクトオリゴ糖では増殖が非常に遅く、腸内と口腔内に存在するBifidobacterium属では性質が異なることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では初年度に各種細菌の増殖能、酸産生能の測定を終了し、次年度に代謝産物の解析を行う予定にしていたが、実験の一連の流れを把握するために、酸産生能の測定後、すぐに代謝産物の解析行うように計画を変更した。増殖能の検討は対象菌全て終了したが、酸産生の測定および代謝産物の解析は、予想よりも一菌種の解析に時間がかかることが分かった。 予定していた菌種を全て解析することは困難な可能性を考え、現在、解析する菌種を選定し、幅広く行うよりも絞って実験を進めていく方向で考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
各種細菌の増殖能の測定は終了したので、今後は酸産生能および代謝産物の解析を進めていく予定である。予定している細菌種の内一つはすでに終了しており、実験手技については同様に行えば良いため、今年度はより迅速に進めることが出来ると考えている。
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Causes of Carryover |
当初の計画では初年度に各種細菌の増殖能、酸産生能の測定を終了し、次年度に代謝産物の解析を行う予定にしていたが、実験の一連の流れを把握するために、酸産生能の測定後、すぐに代謝産物の解析を行うように計画を変更した。 初年度は設備備品として自動滴定装置(pH-stat)を購入予定であったが、上記の理由により酸産生能の測定が次年度をメインに行うこととなりまだ購入していないため、計上していた予算とは異なる支出形態となり、次年度に繰り越すこととなった。また、次年度に行う代謝産物の解析のため有機酸分析計(HPLC)で使用する、カラムや消耗品等が高価なため、予算配分を考え直す必要もあった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、設備備品として自動滴定装置(pH-stat)を購入し、酸産生能の測定を迅速に進める。酸産生能の測定後は、代謝産物の解析のため有機酸分析計(HPLC)を使用するため、カラムや消耗品等の購入に充てる。また研究成果論文発表および国内外での学会発表を行う計画である。
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