2016 Fiscal Year Research-status Report
糖代謝からみる口腔Bifidobacteriumの齲蝕関連性について
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15K20635
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
安彦 友希 東北大学, 歯学研究科, 助教 (00470170)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | Bifidobacterium / 齲蝕 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】Bifidobacteriumは腸内細菌として知られているが、近年、ヒト口腔、主に齲蝕病変からも高頻度で検出されることが明らかになってきた。そこで、口腔を模した環境におけるBifidobacteriumの糖代謝活性及び最終代謝産物について分析し、その齲蝕関連性について検討した。またBifidobacteriumは外来性糖がなくとも酸を産生することが報告されていることから、菌体内多糖についても分析した。 【方法】B. longum JCM1217、対照としてStreptococcus mutans NCTC10449を用い、実験は全て嫌気条件下で行った。pH-statによりpH 7.0及び5.5でのグルコースからの酸産生活性を2時間測定した。得られた最終代謝産物は高速液体クロマトグラフィーにて定量した。菌体内多糖は通法により単離し、ヨウ素呈色による吸収スペクトラムを用いて解析した。 【結果】グルコース添加後10分間の酸産生活性は、S. mutansがB. longumよりもpH 7.0で2.2倍、pH 5.5で1.7倍高かった(p < 0.001)。さらにB. longumは2時間後も酸産生活性を保ち、グルコース非添加でも酸産生活性が見られた。B. longumの主要な最終代謝産物は酢酸で、pH 5.5では乳酸の割合が増加した。またB. longumは菌体内多糖を持ち、その構造はグリコーゲンと類似していると推察された。 【考察】B. longumは、S. mutansよりも酸産生活性が低かったものの、酸性環境での酸産生活性が相対的に高く、また大量のグリコーゲン様菌体内多糖を蓄積できることから、齲蝕病巣のような外部からの糖供給が少ない酸性環境で酸を産生し続けることが考えられた。これらのことからBifidobacteriumは齲蝕病巣環境を維持・悪化させる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた実験は終了したが、これから論文の投稿、および追加実験を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、論文の投稿、および追加実験を行う予定である。
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Causes of Carryover |
おおよそ計画通りに研究を進めていたが、予想し得なかった新たな知見が得られたために、当初の計画を変更する必要があった。加えて、その他の業務の多忙により、研究成果発表(学会発表、論文投稿)が期間内に終了出来なかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
論文投稿に必要な諸経費および投稿を予定している論文誌の掲載料の確保、追加実験の実施、加えて成果発表のための旅費としての使用を計画している。
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