2016 Fiscal Year Research-status Report
極地環境における口腔セルフケアプログラム開発に関する研究
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15K20638
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
財津 崇 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (80611508)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 遠隔歯科医療 / 口腔セルフケアプログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
南極観測隊基地や国際宇宙ステーションなど長期隔離環境では歯科医師不在、歯科医療器具の制限のため、う蝕や歯周病など口腔疾患の急性化は深刻な問題である。このような環境で口腔疾患を予防するには自分で口腔疾患のリスクを評価し管理するシステムが必要であるが、これまでの口腔セルフケアプログラムでは知識と清掃技術の提供しか行われていない。そこで、本研究では長期隔離環境のために口腔疾患リスクをセルフチェックする自己診断型口腔セルフケアプログラムを開発し、口腔清掃へのモチベーションや歯科疾患リスクの改善を評価を行う。平成27年度は(1)課題の抽出、(2)口腔セルフケア教材の作成(3)57次南極観測隊の極地環境ベースライン調査を行った。平成28年度は、遠隔環境における特徴の調査として、(1)18ヶ月南極に滞在する第58次南極観測隊員30名を対象にベースライン調査(口腔内診査;歯式、Plaque Control Record(口腔清掃状況)、bleeding on probing(歯肉の出血状況)、質問票調査;口腔保健行動、口腔清掃へのモチベーション等)、(2)57次南極観測隊員の追跡調査、(3)口腔セルフケア教材の開発の継続(4)現状の論文発表(計2報:国内誌1報、国際誌1報)、学会発表(計8件:国内学会4件、国際学会4件)を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度の目標は、南極観測隊員に対して、口腔保健プログラムの作成を継続するとともに、日本国内での南極観測隊員ベースライン調査(口腔内診査、口腔保健行動の質問票調査、唾液サンプル採取)および南極環境における南極観測隊員の口腔保健行動・口腔保健状態の変化の調査を行うことであった。口腔セルフケアの課題整理と一部項目の南極観測隊員を対象としたデータ収集は行うことができ、学会(国際学会を含む)で口頭発表、ポスター発表を行うことができた。しかし、極地研究所との調整に時間がかかったため、費用が特にかかる、リスク検査、唾液サンプル採取による分析、その他データの統計解析までは行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は南極観測隊員のリスク検査、唾液サンプルの分析、さらにベースライン調査から南極滞在中、帰国後のデータ分析および学会発表、論文作成を行う予定である。
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Causes of Carryover |
平成28年度は57次南極観測隊員の追跡調査を行う予定であったが、観測隊員の帰国は29年4月となり分析する検体が届いていないため、南極滞在中の口腔環境の変化についての分析が行えていない。そのため平成28年度分の予算の余剰が出ている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越された費用は、次年度の研究補助に用いる予定である。
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