2016 Fiscal Year Research-status Report
加齢に伴う三叉神経領域における異常疼痛の発現機序の解明
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15K20639
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
大竹 正紀 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (00736621)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 疼痛 / 加齢 / 三叉神経 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、本学の耐震工事のため実験室が使用できず、予定していた老齢ラット(月齢30ヶ月)と成熟ラット(月齢9ヶ月)における顔面領域の痛み刺激に対応する三叉神経脊髄路核中間亜核と三叉神経脊髄路核尾側亜核との移行部(Vi /Vc zone)の単一ニューロン活動の解析がほとんどできなかった。したがって、平成28年度では、成熟ラットのVi /Vc zoneにおける単一ニューロン活動の解析を中心に行った。その結果、痛み刺激によりニューロン活動が顕著に増加することが観察された。さらに、成熟ラット顔面領域に起炎物質であるCFAを注入した炎症モデル動物を作成し、オピオイドレセプターの拮抗薬であるナロキソンを用い、内因性モルヒネ様物質による下行性疼痛抑制系の賦活を検討した。現在、実験結果を解析中である。 また、平成28年度に実行する予定であった成熟ラット顔面領域にCFAを注入し2、3、5、7日後に再び麻酔し、4%パラホルムアルデヒド溶液にて灌流固定した。延髄と上部頸髄を含む全脳部位を摘出し、Vi/Vc zoneとC1/C2zoneの連続組織切片を作成した。この標本を用いてpERK免疫染色を行い、pERK陽性細胞の数を調べた。その結果、pERK陽性細胞の数は、CFA注入後の2日目に比べ、3日をピークに5日目および7日目は有意に増加していた。 平成29年度は、遅れている老齢ラットの電気生理学実験における顔面刺激に対するVi /Vc zoneの単一ニューロン活動および内因性モルヒネ様物質による下行性疼痛抑制系の加齢による影響を検討する。さらに、顔面刺激後における老齢ラットのVi/Vc zoneとC1/C2zoneのpERK陽性細胞の数についても評価する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験計画初年度(平成27年度)に本学校舎の耐震工事があり、実験室が使用できなかったため、平成27年度に計画していた実験がほとんど遂行することができなかった。また、老齢ラットの作成に時間がかかるため、老齢ラットで行う実験がまだ遂行されていない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度において、成熟ラットにおける電気生理学実験および免疫染色実験は、ほぼ順調に行われている。したがって、平成29年度は、早急に老齢ラットを作成または購入し、予定していた実験を遂行し、成熟ラットのデータと比較し解析する予定である。
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Causes of Carryover |
実験計画初年度(平成27年度)に本学校舎の耐震工事があり実験室が使用できず、予定していた実験が遂行できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験室が使用可能となった平成28年度は順調に実験が行われている。したがって、平成29年度は、老齢ラットの電気生理学実験および免疫染色実験のために補助金を使用する予定である。
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