2015 Fiscal Year Research-status Report
口腔・咽頭がん発生に関与するヒトパピローマウイルス感染の実態とリスク因子の解明
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15K20644
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
竹内 研時 九州大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (10712680)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ヒトパピローマウイルス / 口腔がん |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、平成24年に実施した久山町生活予防健診で得られた唾液検体から既に抽出済みの微生物群集DNAを用いて、各検体のE6とE7を含む遺伝子領域をPCR法にて増幅を行った。その際、悪性型(HPV 16, 18, 31, 35, 52bおよび58型)と良性型(HPV 6および11型)の両者をターゲットとし、HPVpU-1M, HPVpU-31B, HPVpU-2Rの3種のコンセンサスプライマーを用いた。まずはじめに、悪性型のHPV 18と良性型のHPV 11のゲノムDNAが挿入されたプラスミドDNAを鋳型として、先行研究で推奨される反応条件の下でPCR法を実施した。各型のHPVが正確に増幅可能となるように、試薬とアニーリング温度、サイクル数などを調整した。その後、前述の久山町健診の唾液検体からランダムに抽出した100検体を用いてPCR法を実施したところ、1検体から悪性型HPVの増幅が確認された。この増幅産物の塩基配列をBig Dyeターミネーターを用いたサンガー法にて決定したところ、悪性型のHPV 18であることを確認した。これまでの唾液を検体とした悪性型HPV感染の有病率報告は、男女での違いもあるが約5%から15%程度とされており、今回の有病率はわずかに低い傾向であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
PCRの反応条件の最適化に想定していた以上の時間がかかり、当初の予定であった平成24年度採取の唾液検体の解析をすべて完了することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は平成24年度採取の唾液検体の解析を継続し、その上で悪性型と良性型のHPVの各有病率を推定する。さらに、久山町生活予防健診受診者の社会経済的状況を考慮した上で、どういった生活習慣や口腔の健康が口腔のHPV感染と関連するのかを横断的に検証する。また、そこで認められたリスク因子が口腔のHPVの新規感染にどのような影響を及ぼすかを、平成19年と24年の両健診受診者を対象に縦断的に検証する。
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Causes of Carryover |
平成24年度採取の唾液検体の解析をすべて完了することができなかったことから、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は持ち越した助成金を考慮し、本研究に必要なPCR関連試薬やPCR用チップ、プラスチック器具などを新たに購入する予定である。
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