2016 Fiscal Year Research-status Report
要介護高齢者におけるMASAとVEの比較による摂食嚥下スクリーング法の開発
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15K20650
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
大平 真理子 東京歯科大学, 歯学部, レジデント (30733555)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 嚥下障害 / 要介護高齢者 / 嚥下機能評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、さまざまな疾患を有する要介護高齢者にMASA、MMASAとVEを実施した。対象者は東京歯科大学水道橋病院に嚥下機能評価依頼があり、研究の同意が得れらた慢性期脳卒中を有する要介護高齢者48名である。対象者にMMASAとVEを実施した結果についての検討を行った。Mannらが作成したオリジナルのMMASAには、急性期脳卒中患者のためのカットオフ値が94点と設定されており、94点以下の場合「嚥下障害の疑いあり」と設定されている。本研究ではこのカットオフ値を用いた場合の診断精度を算出した。MMASAの合計点を算出すると平均74.6±13.9点であり、94点以下の者は44名であった。VEの結果より、誤嚥、咽頭残留、舌運動および食塊保持の異常を認めた者を、嚥下障害群とした。本対象者のうち、嚥下障害は43名であり、有病率は89.6%であった。カットオフ値を94点にした場合の感度は0.93、特異度は0.20%、尤度比は1.2であった。判定値を94点とした場合、高い感度で摂食嚥下障害を判定することができたが、特異度は低い結果となった。しかし正診率は 90.1 %であることから、慢性期脳卒中患者においても、臨床でのスクリーニング時に94点以下であった場合は、専門医による精査を検討する必要があることが示唆された。この研究結果は、2017年3月2日~4日のDysphagia Research Society 25th Annual Meeting において「Accuracy in determination of dysphagia risk in dependent elderly with chronic stroke Accuracy of MMASA for dependent elderly with chronic stroke」という演題名でポスター発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度行った慢性期脳卒中を有する要介護高齢者にMMASAを実施してきた。しかし、本検討において、対象者を増やして検討するため、平成29年度まで研究期間を延長し対象者を増やす予定である。 また、国際学会での発表時にMASAを用いた研究を行っているアメリカの研究者から、日本人以外にもこの内容を理解してもらうためには、日本の医療や介護システムについて論文に記載する必要がある等の指摘をいただいた。 今後、対象者数を増やし今後論文を作成し、国際学会誌予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度6月までに集まったデータの統計学的検討を行う。要介護高齢者におけるMMASAの診断制度や、慢性期脳卒中患者の摂食嚥下機能評価に適切なカットオフ値を算出する。結果をもとに、英語論文作成を行い、本年度内に投稿を行う。
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Causes of Carryover |
平成28年度に論文を作成し、その英文校正費用として予定していた費用が残っている。しかし、研究成果をよりよいものとするために研究期間を延長することとし、論文作成は平成29年度に行うことに変更した。145267円を平成29年度に使用する予定に変更した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
対象者が現在48名である。目標人数が60人のため、平成29年度も調査を延長し、その後論文を作成予定である。昨年度の残金145267円を本年度作成する予定の英語論文の校正費用に使用する予定である。
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