2016 Fiscal Year Research-status Report
口腔保健行動の予測モデルの構築と歯科保健プログラムの開発
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15K20656
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Research Institution | Aichi University |
Principal Investigator |
尼崎 光洋 愛知大学, 地域政策学部, 准教授 (70613967)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 口腔保健行動 / HAPA / 自己決定理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は、青年期の口腔保健行動に対する評価指標の開発と予測モデルの検討し、予測モデルに基づく青年期の歯科保健プログラムの開発と効果の検証をすることである。予測モデルとしては、口腔保健行動の予測に定評のある行動理論のHealth Action Process Approach(HAPA)モデルに基づきモデルの作成を行っている。 平成28年度は本研究課題の2年目にあたり、平成27年度に開発予定であった口腔保健行動を評価する尺度を作成した。具体的には、歯科健康診断に参加した大学生333名(男性107名、女性226名)を対象に、口腔保健行動評価尺度の原案を用いた質問紙法による横断調査を実施し、本尺度によって歯科医師の診断結果を予測可能であるか検討した。その結果、歯垢や歯肉の状態などの検査項目を予測することが可能であることから、一定水準の口腔保健行動を評価する尺度が開発された。 次に、20-29歳の青年1697名(男性817名、女性862名)を対象に、HAPAを構成する心理的要因(リスク知覚、結果予期、自己効力感、行動意図、行動計画)、口腔保健行動をインターネット調査法による横断調査を実施し、HAPAによって口腔保健行動を予測することが可能であるか検討した。その結果、HAPAは本研究で設定した適合度指標の基準値を概ね満たしたことから、HAPAによって口腔保健行動を予測することが可能であることが示された。なお、HAPAに自己決定理論に基づく口腔保健行動に対する動機づけ尺度を含めた解析は現在継続中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の課題として残っていた口腔保健行動評価尺度は、平成28年度の調査によって開発された。本尺度は、青年期の口腔保健行動を質問紙によって簡便に評価できることから、大学等の健康診断の際に利用可能だと考える。 さらに、平成27年度には大学生のみを対象としたHAPAのモデル検証を行なった。そして、平成28年度には20-29歳の幅広い年齢を対象にHAPAのモデル検証を行うことができた。このことから、青年期の口腔保健行動を予測するモデルとしてHAPAが適用可能だということが分かり、口腔保健行動を促進するための介入プログラムをHAPAモデルに基づいて作成することが可能だと考える。 しかしながら、本研究の目的の一つである自己決定理論に基づく口腔保健行動に対する動機づけをHAPAモデルに投入したモデルの検討が年度内に終了できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度前半は、28年度から引き続いてデータの分析をし、HAPAに自己決定理論に基づく口腔保健行動に対する動機づけを含めたHAPAモデルの検討を進める。後半からは、自己決定理論を含めたHAPAモデルに基づく介入プログラムの作成、介入のプログラムの評価へとつなげていきたい。介入プログラムの作成にあたっては、動機づけの水準に応じて、HAPAを構成するどの心理的要因に働きかけることによって、効率的に口腔保健行動の促進につながるのかを検討した上で作成する。介入研究では、大学生を対象に実施する予定である。 なお、平成28年度までに行われた横断的研究の成果のまとめ、適宜、投稿する。
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Causes of Carryover |
インターネット調査による費用が当初の計画よりも安価で済んだため、各費目を執行ができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度に開催される国際学会(演題登録済)に於いて、本研究の成果の一部を発表するための費用に充てたいと考えている。
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