2015 Fiscal Year Research-status Report
口腔機能が老年症候群に与える影響についての前向きコホート研究
Project/Area Number |
15K20657
|
Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
出分 菜々衣 愛知学院大学, 歯学部, 助教 (40747268)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 高齢者 / 高齢者施設入居者 / 歯科 / 咬合 / 老年症候群 / 認知機能 / 低栄養 / 口腔機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、老年症候群発症リスクとして、口腔機能が及ぼす影響について明らかにすることであり、肺炎・発熱、脱水および低栄養の発症予防管理のための新たな方法を提示するための研究を行う。研究計画1年目の平成27年度は、愛知県内の4つの高齢者施設入居者295名を対象にベースライン調査を行った。調査項目は、年齢、性別、既往歴、Barthel index、Mini-Mental State Examination、Mini Nutritional Assessment Short-Form、血液検査値、食事形態、口腔の状態、舌圧、水分量等について調査した。その結果、Barthel indexの平均は39.9、Mini-Mental State Examinationの平均は9.7、血清アルブミン値の平均は3.37g/dlであった。また、口腔内については、臼歯部咬合の状態について調査した。経口摂取の者では、臼歯部の歯牙が存在しない者でも補綴物で臼歯部の咬合を回復している者において、Mini-Mental State Examinationスコアおよび血清アルブミン値が良好となる結果が得られた。さらに、臼歯部の咬合が現在歯および補綴物により存在している者は、食事形態では常食を摂取できている者が多く、臼歯部咬合の存在と常食の摂取が認知機能低下および低栄養の予防に関連する可能性が示唆された。来年度は、ベースライン調査から半年後および一年後に同対象者について調査を行う。さらに今後の追跡調査では、肺炎・発熱、脱水等の老年症候群と口腔内状況および機能との関連について検討を行っていく予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定より対象者はやや減少したが、愛知県内の高齢者施設入居者295名の同意を得て、調査を実施することができた。調査期間中は、施設スタッフの協力により、日常生活動作および認知機能等の詳細を知ることができた。また、口腔内状況および口腔機能等、必要なデータを得ることができたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要で述べたとおり、平成27年度においては、ベースラインの横断調査を実施した。平成28年度においては、平成27年度の調査対象者を状況の経過を観察し、追跡することとする。ベースラインから半年後の調査においては、転記、発熱日数、疾患の発症、血液検査値の変化について調査を行う。さらに、一年後の調査では、半年後の調査の内容に加えてBarthel index、Mini-Mental State Examination、Mini Nutritional Assessment Short-Form、口腔内状況および機能について診査を行い、ベースラインとの比較を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
初年度は調査の謝金に主に使用した。また、学会発表等の旅費に使用されなかったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に統計ソフトの購入、学会発表、調査旅費および謝金に使用する予定である。
|
Research Products
(4 results)