2017 Fiscal Year Research-status Report
口腔機能が老年症候群に与える影響についての前向きコホート研究
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15K20657
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
出分 菜々衣 愛知学院大学, 歯学部, 助教 (40747268)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 発熱日数 / 頸部聴診 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、高齢者施設利用者を対象とし、①横断調査においては、簡易に計測できる「口腔機能」計測機器を用い、脱水および低栄養との関連を明らかにし、②発熱・肺炎、脱水および低栄養の発症に口腔機能が与える影響について縦断的に明らかにすることを目的とする。 老年症候群とは、「発熱」、「脱水」および「低栄養」等の加齢とともに現れる病的な症状であり、高齢者の口腔状態は老年症候群と関連が認められるという先行研究が散見される。しかし、舌圧や水分量等の「口腔機能」との関連については解明されていない。そこで、老年症候群発症リスクとして、口腔機能が及ぼす影響について明らかにすることで、肺炎・発熱、脱水および低栄養の発症予防管理のための新たな方法を提示するための研究を行った。 本年度は、施設入居者対する発熱状況の調査を実施した。ベースライン時は295名のデータを収集したが、死亡、入院、他施設への転居、自宅での介護を行う者、データ欠損のある者を除外し、112名の発熱日数について解析を行った。そのうち、男性は12名(平均年齢 80.4 ± 8.9歳)、女性は100名(平均年齢 87.1 ± 8.4歳)であった。 また、1年間の発熱日数は① 0日:47名(42.0%)、②1-4日:38名(33.9%)、③5日以上:27名(24.1%)であった。順序ロジスティック回帰分析を行ったところ、因子を調整後においても、頚部聴診による嚥下音や呼吸音に異常が認められた者は発熱リスクが有意に高かった。嚥下機能スクリーニングテストである頸部聴診と肺炎の症状の一つである発熱日数の関連について、施設入居者を対象とした報告は、我々が知る限り認められない。よって、来年度一年間の継続期間の中で、転帰および発熱日数を含めた、さらなる追跡を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年までの研究内容は、国際学会にて発表した。当初の研究目的としていた、口腔内状況と死亡率、発熱日数と嚥下機能の関連についての結果を得ることができた。今後、国際誌にて発表する予定である。また、この度、補助事業期間を延長させていただけることとなり、追跡調査を実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究期間において、上記の進捗状況にて示した口腔内状況と死亡率、発熱日数と嚥下機能の関連について検討した。さらに転帰および発熱日数について追跡を行い、これらについて主に解析を進める。
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Causes of Carryover |
昨年度、調査未実施期間が存在し、口腔内状況および発熱日数等の追跡を行うこととなったため。調査補助員の謝金として使用する。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Relationships among sense of coherence, oral health status, nutritional status and care need level of older adults according to path analysis.2017
Author(s)
Dewake N, Hamasaki T, Sakai R, Yamada S, Nima Y, Tomoe M, Kakuta S, Iwasaki M, Soh I, Shimazaki Y, Ansai T.
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Journal Title
Geriatr Gerontol Int.
Volume: 17(11)
Pages: 2083-2088
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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