2017 Fiscal Year Research-status Report
被災地の在宅介護支援のためのレスパイト・マネジメント能力育成プログラムの開発
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15K20658
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Research Institution | Yamagata Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
高橋 葉子 山形県立保健医療大学, 保健医療学部, 講師 (20625016)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 災害看護 / 在宅介護 / メンタルヘルス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、東日本大震災の被災地が、将来の日本社会全体に予想される少子高齢化と介護力不足による家族側と支援者側の共倒れの危機状態に陥っていることを背景とし、被災地において在宅介護を行っている家族が主体的にレスパイトを実践することにより、セルフケア能力の向上をさせられるような支援プログラムの開発を試みることを目的としている。 研究の再開にあたる本年度は、まず被災地における在宅介護の現状を把握するため、被災地の訪問看護ステーションに勤務する看護師にグループ・インタビューを行った。その結果、被災地においては慢性的なマンパワー不足により、在宅介護を支援する訪問看護師もかなりの多忙を極めており、家族の話をゆっくり聞ける時間がなかなかとれないという意見が多かった。しかし、そのような状況でも、在宅介護をしている家族をもっと支援したいというモチベーションは高い者が多かった。その中には、家族自身がもっと自分の人生を楽しめるよう、家族自身がセルフケアを大切にしていけるような関わりが重要だという声も多く聞かれた。 次に、研究代表者がファシリテータとなり、被災地の訪問看護師を対象に、家族ケアに対する事例検討を行ってもらった。その中で、家族がセルフケア能力を高めるためにはどう支援していけばよいかという方向性を話し合ってもらった。その結果から、家族のセルフケア能力に対するアセスメントにばらつきがあり、情報収集する過程にアセスメントシートなどを活用する必要があることが示唆された。また、具体的な支援方法として要介護者を施設に一時的に預けるという教義のレスパイトに関する意見が多かった。また、実際は罪悪感から預けられない家族も多く、そのような感情的な壁に対してはどう関わったらよいか困難感を抱えているようだった。以上から、広義のレスパイトを支援者と家族に啓発していく必要が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究代表者の出産と育児休業に伴い、研究期間を当初の予定より2年延長した。今年度研究再開するに至ったが、年度途中で研究者が所属機関を異動することになった。異動に伴い、課題に取り組めるエフォートが変動し、大規模な調査の施行までは至らなかったため、遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
被災地の在宅介護にかかわる家族および訪問看護師等の支援者に対し、レスパイトに関する実態調査を行う。質問紙調査及びインタビュー調査にて結果を把握し、被災地においてレスパイトケアを推進するためには、どのような啓発活動や教育プログラムが必要なのかを検討し、プログラムの開発を行い試験的に運用し、その効果を検討していく方向である。
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Causes of Carryover |
研究代表者の産休・育休に伴い研究中断期間があり、研究期間を2年間延長しているため。
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