2016 Fiscal Year Research-status Report
看護師転職者の定着に向けた転職モデル開発に関する研究
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15K20660
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
田中 聡美 山形大学, 医学部, 助教 (70584316)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 看護師 / 転職 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、個人主導によるキャリア形成が主流化し、看護師の転職入職率は新卒入職率を上回る傾向が続いている。転職者の医療機関への定着に向けた介入方法を検討するためには、日本の転職の特徴を捉えた介入策を検討することが重要である。そこで平成28年度は、看護師の転職意思の高まりを予測するモデル(以降、転職モデル)作成した。はじめに、転職入職者の多様な転職行動を予測するための理論的フレームワークを検討した。行動に対する個人の態度が変数として組み込まれている計画的行動理論(Ajzen, 1991)を採用し、計画的行動理論に基づいて転職モデルを作成した。次に、計画的行動理論における転職モデルの説明変数「看護師の転職に対する態度」「主観的規範」「行動の統制感」の内部構造について検討するために,予備調査を行った。 全国の20床以上の病院28施設に勤務する看護師を対象として、郵送調査法による自己記入式質問紙調査を用いた調査を実施し、同意の得られた418名のうち266名の有効回答を分析の対象とした。調査項目は、対象者の属性、転職意思1項目、計画的行動理論における転職モデルの説明変数「看護師の転職に対する態度」28項目、「主観的規範」4項目、「行動の統制感」11項目とした。各質問項目に対して7段階尺度で評定を求め、さらに各質問項目の回答のしにくさについて自由記述を求めた。質問項目はすべて集計し、度数および百分率,平均値および標準偏差を算出した。各質問項目の得点分布を確認し、回答の偏り、天井・フロア効果の有無を確認し、得点分布の歪みが生じていないことと正規性の確認を行った。またG-P分析および項目間相関を確認し質問項目の信頼性を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画的行動理論を理論的フレームワークとして転職モデルを設定し、理論的変数と転職意思との関連性について仮設を立案した。また、計画的行動理論の理論的変数を構成する質問項目の妥当性を検討するために、プレテストを実施した。プレテストでは、対象施設を全国の20床以上の病院とすることで看護師の対象を広げ、各質問項目に対して幅広く意見を収集した。質問項目の妥当性の検討では、各質問項目の得点分布を確認し、回答の偏り、天井・フロア効果の有無を確認し、得点分布の歪みが生じていないことと正規性の確認を行った。また,G-P分析および項目間相関を確認し質問項目の信頼性を検討した。さらに、各理論的変数ごとに探索的因子分析を行い、Cronbachのα係数を求め内的整合性を検討した。以上のプロセスにより本調査で用いる質問項目を特定し、本調査用質問紙を作成することができた。申請書の研究目的の平成28年度予定をほぼ達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画はおおむね順調に進行しており、研究計画の変更はない。 看護師転職者が定着するための介入方法を検討するために、平成29年度は本調査を実施する。調査対象施設は、20床以上の病院を単純無作為抽出法で抽出し、各病院の看護部代表者に調査協力を依頼する。調査対象者は、研究の承諾を得られた病院に2年以上勤務歴のある看護師約1300人を予定している。郵送法による質問紙調査を実施し、得られた結果をもとに共分散構造分析を行い、仮説を検証する。計画的行動理論のフレームワークに基づき分析を進め、キャリア発達に対してどのような意識の変化が引き起こされるのか、また、キャリア発達に対する意識の変化が転職意思に及ぼす影響の特徴を明らかにし、転職者像を分類する。以上の結果をもとに、定着に向けた介入方法を転職者像のタイプ毎にキャリア発達および人的資源管理の観点から検討する。 万が一計画通りに進行できない場合は、所属する研究室教授に指導を仰ぐことが可能である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、データ入力を委託せず人件費が発生しなかったためである。人件費は全国調査にかかる質問紙郵送料および国際学会参加にかかる旅費に充て、残額がわずかに生じたが、今年度使用額は研究計画から逸脱するものではない。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
未使用額は平成29年度の経費に充てる予定であり、申請書の研究計画を変更する必要はない。
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Research Products
(1 results)