2016 Fiscal Year Research-status Report
看護理工学的手法を用いた、妊娠線の新たな発生機序の解明と予防ケアへの応用
Project/Area Number |
15K20664
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
大貝 和裕 金沢大学, 健康増進科学センター, 助教 (40706983)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 看護学 / アドバンストスキンケア / 酸化ストレス / 慢性炎症 / 妊娠線 |
Outline of Annual Research Achievements |
妊娠線は主に妊娠に伴う皮膚の引っ張りによってできる痕であるが、同じ引っ張りの程度でも妊娠線ができる場合とできない場合がある。つまり、単純な物理的引っ張り以外にも、妊娠線の成因に与える影響が存在することが示唆される。この理由として我々は、皮膚の慢性炎症、皮膚内部の実際の構造、酸化ストレスなどの差が妊娠線の程度に影響を与えているのではないかと考えた。そこで本研究では、妊娠線組織を含めた皮膚を採取可能な帝王切開痕の皮膚サンプルを用いることによって、物理的引っ張り以外の妊娠線ができる原因を探ることを計画した。 平成27年度にサンプルを12例回収し、一般的な組織染色(HE染色)を実施した。平成28年度には、スキンブロッティングによる慢性炎症の評価、コラーゲン・エラスチン線維の免疫組織化学学的検討を実施した。まず皮膚慢性炎症に関してであるが、皮膚慢性炎症の程度(TNF-α量)と妊娠線の程度には相関が見られなかった。このことから、皮膚の慢性炎症が妊娠線に与える影響は少ないことが示唆された。また、コラーゲン・エラスチン染色の結果、瘢痕部でのコラーゲン線維量には差がないものの、エラスチン線維量に差があることが示唆された。現在、コラーゲン・エラスチンの密度と妊娠線の程度と関係、超音波画像による皮膚組織内部との比較検討を実施しており、結果が得られ次第論文として成果を発表する。 なお、動物実験については仮説とは異なる結果が得られたため、サンプルの分析を進める。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたサンプルの解析を実施し、データ分析による結果をまとめつつあり、一定の成果を出すことができたと考えられるため。ただし、動物実験についてはさらなる検討を行う。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、超音波画像による皮膚組織内部の比較検討を行い、妊娠線の程度と免疫染色結果との比較を行う。慢性炎症の結果などと複合させ、成果発表を行う。 また、動物実験から得られたサンプルの分析を進める。
|