2016 Fiscal Year Research-status Report
セルフバンデージ指導プログラムの開発-効果的なリンパ浮腫ケアをめざして-
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15K20666
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
間脇 彩奈 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 助教 (10533341)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | リンパ浮腫 / 圧迫療法 / セルフバンデージ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、前年度に引き続き被験者からのデータ収集を行い、結果を学術集会で発表した。発表内容はセルフバンデージ技術の習得プロセスについてであった。 被験者は、乳がん手術後で治療が終了したリンパ浮腫を発症している者9名であり、2週間のうち3-4回の練習日を設定し、リンパ浮腫セラピストの資格を持つ看護師が個別に指導を行った。1回目の練習日には、指導者がバンデージを巻き、被験者にバンデージを装着した感覚を確認させた。2回目の練習日から、被験者は実際にバンデージの自己装着を始めた。3回目と4回目には前腕遠位1/3の部位で、バンデージの圧迫圧を測定しながら行った。圧迫圧は、全員に20-30mmHg前後を目標とするように指示した。なお、安全を確保するため、練習日の指導下でのみ練習を行うよう指示した。 1回目のバンデージ体験後には不安な内容の発言が聞かれたが、2回目の練習で実際に巻くことにより「思ったより簡単」といった前向きな発言に変わり、練習を重ねるにつれて、発言の中に、バンデージをうまく巻くためのポイントとなる点に関する質問が増えた。圧迫圧も練習回数を重ねることで、包帯の緩みも無くなり、見た目にもしっかりと巻けるようになっていった。練習3回目、4回目で指示した圧迫圧に到達できなかった者はいなかった。また、指導期間を通して、バンデージの難しさを理由に研究の参加を中断する者はいなかった。 更に、今年度は、学生を対象にバンデージ装着の指導を行った。圧迫圧を測定したところ、初回にはほとんどの学生が適切な圧に達することが出来なかったが、3-5回の練習を行うことで、全員が適切な圧に到達することが出来た。この結果を併せて、セルフバンデージの装着指導方法を確立して次年度は看護師を対象に研修を行い、指導プログラムの妥当性を検討したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
指導プログラムの作成と習得状況の分析を行い、学術集会で発表することが出来た。また、学生を対象としたバンデージ装着方法の指導を行い、練習を繰り返すことで適切な圧迫圧で巻くことができるようになることを確認できた。 概ね順調に進展しているが、セルフバンデージ指導用の動画作成が出来ていないこと、看護師を対象とした研修を行えていないことが、やや遅れている理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
セルフバンデージ指導プログラムと習得プロセスについて、学術集会で発表し、参加者との意見交換を行うことが出来た。その中で、本研究を発展させる必要があることが改めて感じられた。リンパ浮腫治療として、手術による治療も期待され始めているが、それだけで完治するのは難しいと考えられ、手術治療と併せてセルフケアを行っていくことが重要である。より効果的で安全なセルフケア方法を確立することが求められている。 現時点では、セルフバンデージのパンフレットを作成した段階であるが、これに加え当初から予定していた指導用動画等の教材を作成していきたい。また、セルフバンデージを行った前後での変化等を分析しまとめたい。さらに、看護師を対象とした研修を行って、指導プログラムの確立を目指したい。
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Causes of Carryover |
国際学会のために予算を計上していたが、実際には病院実習の指導等で行くことが出来なかった。また、予定していた人数の被験者を集めることが出来ず、バンデージ物品購入、MRI撮影費、謝金分としての支出が少なかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度6月にバンデージ圧測定に関する内容を国際学会(ILF2017)で発表するため、その旅費に当てる。また、看護師や学生に向けたセルフバンデージ指導を行うため、圧測定器を追加購入することを検討している。さらに、より初期のリンパ浮腫の水の貯留を確認するために、超音波画像が有効であると考えている。これまでの被験者リクルート経験から、外部にも持ち出すことができるポータブル式の超音波画像検査装置の購入も検討している。
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Research Products
(6 results)