2015 Fiscal Year Research-status Report
術後の離床が患者にもたらす効果と影響要因-離床モデルの検証-
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15K20681
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Research Institution | St. Luke's International University |
Principal Investigator |
加藤木 真史 聖路加国際大学, 看護学部, 助教 (70521433)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 早期離床 / 離床 / 看護 / 周手術期 / 消化器外科 / 生活行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、先行研究(消化管術後患者を対象とした参加観察、患者および看護師を対象としたインタビュー調査)から構築した「消化管術後患者の離床促進モデル」をもとに、術後の【離床】【離床の影響要因】【離床の成果】の関連性を明らかにすることを目的としている。3年間で2つの研究(研究1:モデル開発に向けた離床ケアの成果指標および測定方法の検討、研究2:生活行動の視点に基づく消化管術後患者の離床を促進する看護モデルの開発)を実施する計画であり、本年度は研究1を実施した。 研究1は、研究2で実施する離床ケアの介入効果を測定するための成果指標および測定方法を検討することを目的に実施した。文献検討の結果から、「消化管術後患者の離床促進ケアモデル」を構成する概念である【離床】の測定には、加速度センサー搭載型活動量計(Lifecorder GS, SUZUKEN, 以下LC)の使用が適していると考えられた。また【離床の影響要因】【離床の成果】を測定する方法として、研究者が自記式質問紙を作成した。 対象者は、全身麻酔下で消化管(食道を除く)切除術を受けた患者5名(55-76歳)であり、自記式質問紙への回答(術後1日目と術後2日目の2日間)と、LCの装着(術後1日目から術後3日目までの3日間)を依頼した。その結果、術後患者の歩数はLCによって十分に測定可能であることが確認できた一方、離床の影響要因および成果の測定に関しては、自記式質問紙の内容、回答方法、測定日数などに課題があることが明らかとなった。 以上の結果を踏まえ、次年度データ収集を開始する研究2の研究計画書を作成し、所属施設研究倫理審査委員会の承認を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標である研究1を実施し、次年度データ収集を実施予定の研究2の研究計画書作成、所属施設研究倫理審査委員会の承認を得るところまで進めることができた。当初、研究2は横断的観察研究の予定であったが、看護学研究者らによる研究コンサルテーションを受け、介入研究(準実験研究デザイン)へと変更した。そのため、当初の計画にはなかった介入プログラム作成が必要となったが、それらも含めて本年度の研究活動を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目となる平成28年度は、研究2「生活行動の視点に基づく消化管術後患者の離床を促進する看護モデルの開発」のデータ収集を実施する計画である。本研究は、術後の離床援助として「歩行」を促すケア(歩行促進ケア)を受けた群と、生活行動をとおして離床するケア(生活行動促進ケア)を受けた群の2群を設定し、従属変数における両群の差を検討する準実験研究である。歩行促進ケアを通常ケアとして実施している1病院1施設に研究協力依頼を行い、全身麻酔下で消化管(食道を除く)切除術を受ける者56名(各群28名)を目標に、データ収集を実施する。
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Causes of Carryover |
日程の都合で予定していた学術集会への参加ができなかったこと、研究補助を雇用せずに研究の全過程を研究代表者が一人で実施したため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度実施予定の研究2は、横断的観察研究から介入研究に研究デザインを変更したため、介入プログラム実施のための看護師用・患者用パンフレットを制作する必要性が生じている。また、質問紙により収集した研究データの集計作業等にかかる委託費の増加も見込まれるため、それらの費用として使用し、研究計画が確実に実施できるようにする。
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