2016 Fiscal Year Research-status Report
ジェネラリスト看護師における臨床判断能力の評価手法の開発
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15K20689
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
秋山 直美 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (20636534)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 臨床実践能力 / 現任教育 / 臨床推論 / コンピテンシー / 倫理観 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ジェネラリスト看護師の臨床実践能力を主観的・客観的に判定するための方法論を確立することである。具体的には、①さまざまな臨床実践の場面を集め、各場面における看護師の思考過程、即ち“臨床判断”を明らかにし、②それらの臨床判断の難易度を客観的に評価することによって、③難易度のついた客観的評価指標及びシミュレーションによって臨床実践能力をより適正に評価する方法を検討している。 今年度は、臨床実践能力を客観的に測定するための「臨床判断能力テスト(以下、能力テスト)」の作成にあたり、インシデント・アクシデントに関する公開データを分析し、経験年数・部署配属年数による発生状況の相違や特徴を学会発表した。平成27年度の調査内容との整合性をとり、現任教育に関わる研究者・臨床看護師らと意見交換を重ね、能力テストを開発した。既存の尺度と合わせて、経験年数10年以上の看護師5名を対象に質問紙によるプレスタディを行った。質問紙の内容を再度吟味し、大学病院に勤務する看護師約250名を目標数とする本調査を開始し、現在、200名を超える返信が得られている。なお、この調査は平成29年5月まで継続する予定である。現在、中間解析を実施し、経験年数・部署配属年数などによる回答状況の相違を検討し、経験豊富な看護師ほど誤りやすい問題の傾向などを抽出している。加えて、質問紙調査の自由記載の例から、臨床の看護師からみた“優れた看護師像”の事例を抽出している。 それらの結果をもとに、平成29年度は、能力テストおよび自由記載の回答をもとに、大学病院に勤務するインタビュー調査を行い、シミュレーション・シナリオ(以下、シナリオ)を完成させる予定である。また、能力テストの実用化に向けて、コンピューターを用いたテストシステムを開発し、多くの看護師がテストを受けられ、かつ、データの蓄積が可能となるように準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの進捗状況は、研究実施体制、研究実施内容、予算など、おおむね計画通り順調に進展している。 調査協力機関である大学病院の協力のもと、当初の計画通り、平成28年度に能力テストに関する本調査を始めることができ、目標としていた対象者数の確保が見込まれている。 また、能力テストの回答者からは、「臨床実践に結びつくようなテスト内容であった」、「テストに挙げられている場面は現場でも遭遇する」などの感想が寄せられており、テストは臨床場面を再現した内容であり、当初の目的であるジェネラリストの臨床実践能力を客観的に測定する尺度としてふさわしいものと予想される。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度はシナリオを完成させるとともに、能力テストの実用化に向けて、コンピューター・システムを用いたテストを開発する予定である。 研究の成果を学会・論文発表を通して、広く公表していきたい。
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Research Products
(2 results)