2016 Fiscal Year Research-status Report
化学療法中の乳がんサバイバーにおける就労との両立に向けた看護支援プログラムの検討
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15K20706
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
鈴木 敦子 宮城大学, 看護学部, 助教 (60527901)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 乳がん / 化学療法 / セルフケア / 就労 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度の文献検討から、治療期にある化学療法中の就労乳がんサバイバーへの支援プログラムの検討にあたっては、看護師が就労支援のニーズを早期に見出し、介入するためのアセスメントツールの開発や、就労といった社会的背景を踏まえたセルフケア支援を確立することの重要性が示された。そのため、平成28年度は、がんサバイバーのセルフケア支援やセルフケア能力に焦点を当て、前年度に引き続き文献検討を実施した。その結果、がん患者のセルフケア能力に関する文献は散見されたものの、乳がん患者といった疾患特異性や、就労者という対象特性を踏まえたセルフケア能力関する報告はなく、十分な検討がなされていないことが明らかとなった。 これらの文献検討を踏まえ、化学療法中の就労乳がん患者におけるセルフケア能力を明らかにすることを目的として、化学療法中に就労を継続していた乳がん患者を対象に、インタビューガイドに基づいた半構造化面接法による調査を行った。インタビューガイドはこれまでの文献検討の結果を基に作成を行った。現在まで3名に面接調査を実施し、得られたデータは逐語録を作成し質的帰納的に分析を行っている。現在も分析を行っている段階にあるが、化学療法中の就労乳がん患者のセルフケア能力として、正しい知識を得る力、就労への影響を判断していく力等の能力が明らかとなっている。 また、昨年度に引き続き研究対象者の確保のために、研究協力施設等の患者会、がん患者の就労支援に関連する患者会に参加し、研究フィールドの拡大に努めた。 平成29年度は、化学療法中に就労を継続していた乳がん患者を対象とする半構造化面接法による調査及びデータ分析を昨年度に引き続き実施し、その結果を踏まえ支援プログラムの検討を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度の文献検討から、治療期にある化学療法中の就労乳がんサバイバーへの支援プログラムの検討にあたっては、看護師が就労支援のニーズを早期に見出し早期介入するためのアセスメントツールの開発や、就労といった社会的背景を踏まえたセルフケア支援を確立することの重要性が示された。このことから、より精緻に目的を達成していくため、セルフケア支援やセルフケア能力に関する文献検討を踏まえ、本研究を進めていく必要性があった。 また、化学療法中に就労を継続していた乳がん患者を対象に面接調査を予定していたが、本研究は化学療法中の就労乳がん患者を対象とするため、研究協力施設の倫理審査の承認を得ることや、対象者の選定に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き平成29年度は、化学療法中に就労を継続している乳がん患者を対象に、面接調査を行う予定である。そのため、今後の研究の推進方策は、対象者の確保を第一優先とする。研究協力施設の医師または看護師と十分に連携を図り、研究対象者選定の依頼を行っていく。 また、データ分析の過程において、研究結果の真実性と妥当性を高められるよう、質的研究の専門家やがん看護の専門家にスーパーバイズを依頼する。加えて、これらの専門家に、専門的知識の教授や助言の依頼を行う予定である。
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Causes of Carryover |
平成28年度の計画では面接調査を行う予定であったが、研究協力依頼施設の倫理委員会の承認や、対象者の選定及び確保に時間を要した。そのため、調査に必要となる旅費、人件費、謝金等の経費が減少したと考えられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
予定していた面接調査の遅れにより、逐語録作成のための人件費や謝金分の予定額の使用を遂行していない。そのため、平成28年度の繰越額は、前年度に引き続き実施する面接調査のため、人件費、謝金、旅費、消耗品費等の必要経費として使用する。また、当該研究を取り巻く、新規性・独創性を持った研究の情報を得ること、研究結果の社会への発信を行うため、学会参加費や旅費として使用する。
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