2015 Fiscal Year Research-status Report
患者力を活用した症状戦略データベースの構築とその活用
Project/Area Number |
15K20713
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
中野 宏恵 兵庫県立大学, 看護学部, 助教 (00632457)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 症状マネジメント / 患者力 / 末梢神経障害 / グッドプラクティス |
Outline of Annual Research Achievements |
がん患者の多くが体験する苦痛症状の中でも頻度が高く、十分な対処方法や治療方法が確立していない化学療法誘発性末梢神経障害に焦点をあてることとした。文献検索システムを用いて、症状緩和の医学的介入(抗がん剤投与方法、支持療法)、患者の体験、アセスメントツールについて文献レビューを行った。抗がん剤関連の末梢神経障害に対する治療は、いまだエビデンスが少なく、確立した予防法や治療法はない。現在、アセスメントを的確に行うための評価指標が開発され、さらに包括的なケアを提供するモデルの開発に取り組まれている。しかし医学的な介入には限界があり、根本的な解決が難しいことは明らかであるという結果から、平成27年度は、症状に対処するための一助となる患者のグッドプラクティスを収集することを目的に、患者が困難に感じていることと、それに対してどのように対処しているかを聴取した。 化学療法誘発性末梢神経障害を有しており、外来化学療法室に通院中のがん患者を対象に、半構成的面接法を用いて患者の症状体験および症状マネジメントの方略を詳細に具体的に聴取した。概念枠組みにはLarsonら(1994)の症状マネジメントモデル(Model of Symptom Management:MSM)を用い、インタビューガイドを作成した。調査に際し、化学療法認定看護師をカウンターパートとし、外来化学療法室の看護師スタッフの協力が得られるように調整を行い、現在15名のデータ収集を終了した。得られたデータの逐語録より日常生活上の困難と症状戦略に関するデータを抽出して分析を行っている。生活上の困難に対し、有痛性の有無や症状の程度によっても異なるが、患者は温める、マッサージをする、運動をする等、独自の対処法を試したり、転倒等の二次傷害の危険を回避するために筋力低下を予防する、ゆっくりと行動する等の対処方法を行っていた。分析と並行し、継続してデータ収集を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
施設で調査を行うにあたり、カウンターパートとなる共同研究者(化学療法認定看護師、外来化学療法室スタッフ)と調整を行い、対象者の診療に支障が出ないよう体制を整える必要があると考え、時間をかけて行った。そのため、倫理審査委員会への提出および承認の許可に遅れが生じ、調査開始が遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
化学療法認定看護師および外来化学療法室スタッフの協力を得て研究を進めることができているため、継続していく。得られたデータより共通性が見られることから、目標人数を30名程度とし、分析と並行してデータ収集を進める。分析フォーマットを作成し、効率良く分析できるように工夫する。データ分析を進め、学会発表、投稿ができるように準備する。 得られたデータより看護の示唆とともにグッドプラクティスを抽出を行う。データベース化にあたり、カウンターパートとなる共同研究者およびがん看護専門看護師に協力を依頼し、内容の吟味と修正を行う。
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Causes of Carryover |
文献レビュー、および施設での調査を円滑に進めるための調整に時間を要したため、調査開始に遅れが生じた。そのため、データベースのサイトを作成するためのホームページの改修準備のための費用として次年度に使用することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ホームページ改修、web調査費用に使用する。
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Remarks |
「がん症状マネジメントにおける看護介入モデルの症状別臨床普及版の開発」ホームページ http://sm-support.net/
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