2016 Fiscal Year Research-status Report
COPD患者の体調調整に関する尺度の実用化とその特徴に合わせた看護支援の開発
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15K20717
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
河田 照絵 東京医科大学, 医学部, 講師 (40438263)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 慢性呼吸器疾患 / 体調調整 / 看護 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は昨年度までに作成した調査用紙を用い、体調調整の得点と病期、栄養状態、健康関連QOL、息切れの程度などの基本属性との関連を検討した。調査は外来通院中のCOPD患者を対象として郵送法による調査を実施した。56名に配布し、51名より返信があった。このうち46名の回答を有効回答とし分析を行った。 結果、病期分類(GOLD)の群での検討では、体調調整の得点には有意差は見られないものの重症度が高い方が体調調整への取り組みの程度が高くなる傾向が見られた。また、QOLにおいては疾患特的QOL尺度(SGRQ)、健康関連QOLの身体サマリースコアでは重症度が高くなるとQOLが低下する傾向がみられたが、健康関連QOLの精神サマリースコアでは重症度から得点の傾向は見られなかった。また、息切れの程度においては2群に分類(mMRC0,1群、mMRC2、3,4群)し検討したところ、息切れの程度が高いほうが有意にQOLが低い傾向がみられるものの、体調調整の取り組みに関する得点は息切れの程度が高い群の方が得点が高くなる傾向がみられるにとどまった。 また、46名のデータを階層的クラスター分析(Ward法、平方ユークリッド距離)で類似した体調調整の取り組みを行っている群に分類したところ取り組みの高い群、中程度群、低い群に分類され、取り組みの程度には有意な群間差が確認されたものの、病期、QOL、リハビリテーションの受講の有無、栄養状態との間に有意な関連性はなかった。 以上の結果からCOPD患者にとってこれまでに報告がなされているように、息切れの程度はQOLとの関連性が高いことが明らかになった。しかし、体調調整に関連した取り組みの程度との関連が見られなかった。今後、COPD患者が日常的に行っているセルフケアと、捉えている健康状態にどのような要因が関連しているのかを検討していく必要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度実施した、調査のデータ収集が遅れたことおよび、結果の分析に時間を要したため、研究結果の遅れにつながった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に実施した調査ではCOPD患者の体調調整の取り組み状況と病期、QOL、息切れの程度との関連を検討したが、その結果が明確な有意差は示されなかったことから、どのような要素がCOPD患者の日常的な体調調整への在り方に影響をしているのかを検討していくことが看護介入を行う上で重要となるものと考える。そのため、文献検討とともに、介入計画を立案する前段階として要因を明らかにするための調査を実施する必要性があると考える。そのため、本研究ではより実際の状況に合わせた看護援助の在り方を明らかにすることを目的としているため平成29年度は介入研究の実施を予定していたが、どのような要因がCOPD患者の体調調整への取り組みやQOLに影響するのかを検討するなど具体的な要因に関する検討も行いながら介入計画の準備を進めていく。
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Causes of Carryover |
平成28年度に実施予定であった研究に遅れが生じているため経費が使用できていない。旅費に関しても、学会等の開催やデータ収集にかかる旅費が予想よりも低額となったこと、データ収集にかかる人件費を使用できなかったことが主な理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度には、前年度までの研究成果を発表するとともに、次の段階の研究計画に取り組み計画的に使用できるように検討していく。
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