2016 Fiscal Year Research-status Report
炎症性腸疾患患者の治療法に関する意思決定支援モデルの構築
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15K20722
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
布谷 麻耶 (吹田麻耶) 武庫川女子大学, 看護学部, 准教授 (70514735)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 炎症性腸疾患 / クローン病 / 潰瘍性大腸炎 / 意思決定 / 治療選択 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、炎症性腸疾患患者の治療法に関する意思決定を支援するためのケアモデルを構築することである。第一段階として、患者の治療選択に関する意思決定過程を明らかにするために、患者へ個別面接調査を実施した。 今年度は、これまでに行った患者への個別面接調査から得られたデータを質的研究の手法を用いて分析した。炎症性腸疾患の治療法の中でも、最近、選択・使用する患者が急増している生物学的製剤と補完代替療法の選択に焦点を当てて、分析を行った。その結果、体調の良し悪しや症状による生活への支障が意思決定過程の起点となること、治療に伴う利害に患者自身がどのように重きを置くかによって、治療選択の決断が異なることが示された。これらの分析結果について、論文としてまとめ、研究発表を行った。 本研究の第二段階では、第一段階の患者への調査結果および先行研究をもとに炎症性腸疾患患者の治療法の意思決定を支援するケアモデル原案を作成し、患者へ実際にケアを行っている看護師を対象に面接調査を行い、ケアモデルを洗練する計画である。今年度は、第二段階の調査に向けて、ケアモデル原案の作成、看護師への面接調査の詳細な実施計画立案、調査協力施設の選定と依頼を行った。 今後は、実際に患者へのケアに携わっている看護師へ面接調査を行い、その結果を分析してまとめ、どのようなケアが患者の治療選択において必要かつ有効なのかを明確にし、臨床の場で活用できるケアモデルを構築する計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、第一段階の患者への面接調査で得られたデータを分析し、その結果をまとめて公表することができた。また、第一段階の調査結果をふまえ、第二段階の看護師への面接調査の実施に向けた準備を進めることができたため、研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
第一段階の患者への調査結果および先行研究をもとに炎症性腸疾患患者の治療法の意思決定を支援するケアモデル原案を作成したが、最新の先行研究を参照しながら、モデル原案については、その妥当性および実施可能性の観点から検討と見直しを続けていく。 第二段階の看護師への面接調査に向けて、現在、研究者の所属機関および調査実施施設の倫理審査委員会へ研究計画書を提出し申請中である。倫理審査委員会からの承認を得た後、実際に患者へのケアに日々、携わっている看護師へ個別面接調査を行う。調査から得られたデータを質的研究手法を用いて分析し、その結果をまとめ、臨床の場で活用できるケアモデルを構築する計画である。
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Causes of Carryover |
患者への面接調査の逐語録作成は専門業者に依頼する予定であったが、研究代表者がすべて逐語録を作成したため、その分の人件費が不要となった。 また、得られたデータを分析するにあたって、専門家からのスーパーバイズを複数回受けたが、大半が電子メールや郵送でのやり取りで行ったため、専門家のもとを訪れるための旅費交通費が少額で済んだため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、研究の第二段階として看護師を対象とした面接調査を実施し、患者の治療選択に関する意思決定支援モデルを構築する計画である。そのため、面接調査を行うにあたって旅費、参加者への謝礼が必要である。また、これまでの研究成果をまとめ発表するために必要な英文校閲費、学会参加費および旅費として研究費を使用する計画である。
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